プロ野球シーズンの最後を飾る日本シリーズ。
そのプレイボールの直前、今夜の第1戦で中継(フジテレビ系列)の解説を務める松坂大輔氏(41)を、大阪ドームの実況席で直撃した。
松坂氏にとっては、この試合が解説者デビューの1戦となる。
――今年ユニフォームを脱いで1ヶ月が立ちましたが今の心境は?
本当に精神的にホッとしながら過ごしています。
――今日の試合はどんな展開になると予想していますか?
僕はピッチャーなので、なかなか見られない二人の投げ合いですし、投手戦を期待したいですね。
先発はオリックス山本、ヤクルト奥川
対戦する両チームともクライマックスシリーズ無敗で迎える今夜の第1戦。
先発投手は、オリックスが5冠エース山本由伸投手(レギュラーシーズン18勝5敗、防御率1.39)、ヤクルトは成長著しい20歳の右腕・奥川恭伸投手(9勝4敗、防御率3.26)が登板。
松坂氏は、「(山本投手は)現在、日本の右ピッチャーの中でナンバーワンの投手だと思っています。 (奥川投手は)あの年齢で凄みを感じるピッチングをしていますし、彼らの世代ではナンバーワンなのではないでしょうか」と両チームのエースについて語った。
そして「日本球界のナンバー1右腕の山本投手と、セ・リーグを代表する奥川投手の投げ合いにぜひ期待したい」と続けた。
解説の松坂氏はプロ4年目の2002年に、自身初めての日本シリーズで先発を経験。
第1戦で登板し、巨人・上原との投げ合いに敗れた苦い経験を持っている。短期決戦の怖さを知る松坂氏が、この日本シリーズをどう展望するのか?引退後、初となる生中継出演に注目が集まる。
片岡氏「実に感慨深い」
そして松坂大輔氏の解説デビューで、実況席をともにするのは、来季から中日の2軍監督を務める片岡篤史氏(52)だ。
この片岡氏は、かつて松坂氏がプロ初登板した1999年の日本ハム戦で、155キロの内角ストレートに豪快なスイングで三振。「平成の怪物」の衝撃デビューシーンで、対戦相手となった人物だ。
片岡氏は「松坂の怪物伝説は、僕からスタートしたと言っていいと思います。当時、こんなボールを投げる高卒ルーキーがホントにいるんだと驚きましたからね」と当時を冗談交じりに振り返る。
そして「またこういう形で一緒に顔合わせするのは、実に感慨深いです」と実況席での共演に期待を寄せた。
26年ぶりの因縁のカード
まさに接戦の攻防が期待されるオリックス対ヤクルトの対戦カード。
これまでの歴史を遡ると、1995年、野村克也監督率いるヤクルトと、仰木彬監督率いるオリックスが日本一を争った時以来の対決だ。
その年の1月、地元神戸が阪神・淡路大震災で被災したオリックスは「がんばろうKOBE」を合言葉にファンと選手が一致団結。「仰木マジック」の異名をとった名将の指揮のもとパ・リーグを制し、見事日本シリーズに進出した。
これに対し「野村ID野球」を武器に黄金時代を築いていたヤクルトは、徹底したイチロー封じを敢行し、4勝1敗でオリックス退け頂点に輝いた。
あの戦いから26年。
当時、絶対的守護神としてマウンドに立ったヤクルト・高津臣吾と、不動の正捕手としてチームを支えたオリックス・中嶋聡という、名将の薫陶を受けた二人が、今度は指揮官として再び相まみえる。
片岡氏はこう語る。
「コロナ禍で難しい年に、この対戦カードという巡り合わせに因縁を感じますね。1995年以来の顔合わせというのは、本当に偶然とは思えないものがあります。
このシーズンの最後に野球が出来る両チームの監督、スタッフ、選手には、誇りも持って戦って欲しいです」
松坂氏、片岡氏の解説はもちろん、エースの投げ合い、そして因縁深い指揮官の采配にも注目したい。
日本シリーズ 第1戦
オリックス×ヤクルト
11月20日(土)夜6時〜生中継(フジテレビ系)