6年ぶり8度目の優勝を果たしたヤクルト。
阪神との優勝争いを制し、2年連続の最下位から一気に頂点へと駆け上がったその裏には、チームを一つにした“魔法の言葉”があった。
ヤクルトを変えた“魔法の言葉”
3位で迎えた9月7日、3勝10敗2分と大きく負け越していた首位・阪神との甲子園での一戦。
差は3.5ゲーム。逆転優勝へ直接対決はもう落とせない中、試合前に高津臣吾監督(52)は選手にこう檄を飛ばした。
「絶対大丈夫!絶対いけるから!絶対大丈夫!もしグラウンドに立つときに思い出したら絶対大丈夫と一言言って打席にマウンドに立って下さい。絶対大丈夫です」
指揮官が繰り返した「絶対大丈夫」の言葉。
ミーティングで聞いたキャプテンの山田哲人(29)はこう明かす。
「そう信じようと思いましたね。実際その日甲子園でもマウンドで言ったりして、大西投手がマウンドに上がったんですけど、『監督なんて言った?』って聞いたら、『絶対大丈夫!』と言って、雰囲気も良くなりましたし、そういう力もありましたね」
不動の4番・村上宗隆(21)も、こう振り返る。
「自分の中で『絶対大丈夫』だと2、3回言って打席に立つようにしていました」
6年ぶりVに導いた「絶対大丈夫」
「絶対大丈夫」
その言葉を胸に村上が32号アーチを描くなど、この試合を大差で制すると、“魔法の言葉”で勢いに乗ったチームはこの月、13試合負けなしの球団新記録を樹立。後半戦、苦手としていた阪神にも5勝3敗2分と勝ち越した。
「言葉ってすごく大切なんだという風に思いました」と村上。
「『絶対大丈夫』を信じて、クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズと勝って日本一になりたいと思います」と山田。
高津監督が言葉に込めた気持ち
改めて高津監督に「絶対大丈夫」という言葉に込めた気持ちを聞いた。
「自分を信じて、チームメートを信じて、このチームが一つになってね、戦っていこうじゃないかと。それしかできないので、本当に信頼して、腹をくくって送り出しているつもりです」と心から選手を信じる指揮官。
チームが一つになって戦うクライマックスシリーズと日本シリーズ、20年ぶりの日本一はもちろん「絶対大丈夫」だ。