今季、イングランドプレミアリーグの名門アーセナルに加入した日本代表の冨安健洋(22)。
サッカー界の若き守備の要が、海外で評価を急上昇させている。
冨安は18日のクリスタルパレス戦に右サイドバックで5試合連続の先発出場を果たすと、コートジボワール代表二コラ・ペペと息の合ったプレーで先制点に絡む活躍を見せる。
さらに、22日のアスランヴィラ戦では得意の空中戦で相手の攻撃を弾き返し、勝利に貢献。
チームは冨安が加入後に負けなしと確かな存在感を示している。
世界のビッグクラブへの加入に「自分がアーセナルの一員としてプレーできるなんて想像もしていなかった。とてもワクワクしています」と意気込む。
イングランド名門で評価爆上げ
アーセナルは世界最高のリーグで、優勝を13回など数々のタイトルを獲得。
過去には元オランダ代表のD・ベルカンプ、元フランス代表のT.アンリ、同じく元フランス代表のP.ヴィエラなども所属した国内外に熱狂的なサポータを多く抱える名門中の名門だ。
そんなビッグクラブで即座にスタメンに定着した冨安。現地ロンドンのサポーターも「ここまで素晴らしいプレーをしているし、素晴らしいディフェンダーだね。誇りに思うよ」と評価はうなぎのぼりだ。
2016年にアビスパ福岡でJリーグデビュー。
2018年に19歳でヨーロッパへと渡り、ベルギーのシントトロイデン、イタリアのボローニャとキャリアを積み、今や日本代表の主力を務めるまで成長した冨安。
現地の英ガーディアン紙のN.エイムス記者は「冨安がアーセナルに入ることができた一番の理由はフィジカル面です。彼の身体能力はこのリーグに適しています。速さもあるし背も高い。強さとダイナミックさもある」と、各国の屈強な選手がそろうプレミアリーグの中で、全く引けを取らないフィジカルの強さを飛躍の要因に挙げる。
冨安健洋のルーツを解明
フィジカルの強さを武器にプレミアリーグで存在感を放つ日本代表・冨安健洋。そのルーツを知るレジェンドに話を聞いた。日本が初出場したフランスW杯でキャプテンを務めた井原正巳さん(54・柏レイソルヘッドコーチ)だ。
かつて“アジアの壁”と呼ばれ、フィジカルの強さを武器にした名ディフェンダーはアビスパ福岡の監督時代、高校生だった冨安をトップチームに抜てきした恩師でもある。
「高校生の頃はフィジカル的な強さ、相手を跳ね返すような強さは不足していた。毎日、居残りで練習していたのをよく覚えています」。
飛躍のルーツは恩師が授けた武器
ディフェンダーに必要不可欠なフィジカルを鍛える日々。
そこで井原さんが冨安に受け継いだ「ある技術」がある。
「センターバックとして必要なのはヘディング。力強い選手にヘディングで負けてしまう場面がかなりあったので、そこに重点を置いた」。
日本サッカー界のレジェンドからヘディングの技術を叩き込まれた冨安。いまやアーセナルで空中戦の勝率はトップ。世界に通用する武器を手に入れた。
鍛え上げられたフィジカルとヘディングで飛躍を遂げた日本の若き“アジアの壁”。
今後の活躍から目が離せない。