稲葉篤紀監督が発表した、東京オリンピックで金メダルを目指す24人の侍ジャパン。

そのメンバーの一人、読売ジャイアンツ・坂本勇人が、代表入りを果たした今の心境や東京オリンピックへの思いを明かした。

「五輪に出たい」が新たな目標に

この記事の画像(10枚)

「チームを代表して頑張ってきます。応援してください」

日本代表発表の日、川崎市のジャイアンツ球場で、巨人のメンバーたちに意気込みを語っていた坂本。

巨人のキャプテン坂本は、プロ6年目の23歳で初の日本代表入りを果たすと、侍ジャパン不動のショートとして、今大会のメンバーの中で最も多い5度の国際大会を経験。

出場33試合で35安打、16打点。2019年のプレミア12では、日本の世界一に貢献するなど、侍ジャパンには欠かせない存在だ。

今大会チームにキャプテンを置かなかった稲葉監督も、「彼も豊富な代表経験を持っています。勇人には野手陣を引っ張っていってほしい」とリーダーとしての期待を寄せる。

東京オリンピックで再び世界の頂点に挑む坂本は、日本代表に選ばれた今の心境をこう語った。

「東京オリンピックが決まってから僕の目標の一つ。新しく“オリンピックに出たい”と目標ができたので、頑張ってよかったかなという気持ちです」

稲葉監督へ感謝の気持ち

そんな坂本は、東京オリンピックまで2カ月余りとなった5月9日のヤクルト戦で、試合中に右手親指を骨折し、長期離脱を余儀なくされた。

坂本は「調子が上がっていたときにケガしてしまったので、実戦が1カ月空くのは嫌だった」と振り返るが、焦る気持ちを抑え、一人リハビリに励んだ。

そんな時、ケガの状態を心配して連絡をしてきたのが、稲葉監督だったという。

「『どういう感じなの?』と連絡があって、『オリンピックには間に合うと思うので』というやりとりはありました。『焦らずゆっくり治してくれ、期待しているぞ』というような言葉を頂いたので、ありがたかったです」

坂本は初めて出場した2013年のWBCで、現役時代の稲葉監督と共にプレーしていた。

「現役の時から野球の話など、いろいろな話をさせてもらって、感謝の気持ちもありますし、一緒に戦って金メダルを獲れるように頑張りたい」と坂本は、共に日の丸を背負い戦ってきた稲葉監督へ感謝の思いを明かした。

野球の素晴らしさを届けたい

日本代表のメンバーを見たときは「僕が一番年上。もうそんなに年を取ったんだな」と感じたという坂本。

今回の侍ジャパンで最年長は、坂本や東北楽天ゴールデンイーグルス・田中将大など1988年生まれの88世代。

これまで侍ジャパンをけん引してきた福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩は、今大会不在だ。

最も代表経験豊富な坂本にはリーダーとしての期待がかかる。

坂本は「前回プレミアの時は松田さんが盛り上げてくれていましたけど、僕は盛り上げたりするのはあまりキャラじゃないんですけど、僕自身もチームを引っ張っていけるようにやらないといけない立場だと思っている」と気を引き締める。

2024年のパリオリンピックでは、再び除外される野球。だからこそ、坂本はこの東京オリンピックで金メダルを獲ることで伝えたい思いがあるという。

「僕自身が野球に育ててもらって、野球に対して感謝の気持ちでいっぱいなので、野球少年に限らず、国民のみなさんに“やっぱり野球ってすばらしいスポーツだな”と思ってもらえるように、そのために勝ちたい。国民のみなさんと一緒に喜べたときが、一番そう感じてもらいやすいと思うので、それが今の目標です」

今の坂本勇人があるのは、他ならぬ野球のおかげ。その野球の素晴らしさをもう一度日本中へ届けたいという気持ちを坂本は抱いている。

「チームが金メダルを獲れれば、僕がヒットを一本も打てなくても、勝てれば本当にそれでいいと思うので、日本を代表してプレーするということは心のど真ん中において、金メダルを獲れるように頑張りたい」