子どもの間で急増するナッツアレルギー。なかでも命に関わる重い症状をもつ子の親にとって、大きな不安となっているのが“空の移動”だ。ごく微量でも命に関わる恐れがあるため、機内のおつまみに使わない航空会社が増えているが、他の乗客の持ち込みまで制限できるかには議論がある。いのちを守る配慮と、他の乗客の自由。誰もが安心して空を移動できる環境をどう実現していくべきなのか取材した。
機内でアレルギー反応 「ナッツフリー」求め
「私は重いナッツアレルギーがあるのですが、乗客にナッツが入った袋を開けないよう機内アナウンスをしてもらえませんか?」
ナッツアレルギーを持つ人にとって、目に見えない不安と隣り合わせの飛行機による旅行。そんな環境の改善を求め声を上げた男性がいる。

重度のナッツアレルギーを持つダニエル・ケリーさん(32)は、飛行機に乗るたびに、搭乗員に声をかけ機内の「ナッツフリー」(誰もナッツを食べない状態)を求めては、そのやりとりの動画をSNSに投稿している。
2025年7月に投稿した動画は、1000万回以上再生され、7000件ものコメントがついた。
「命を救えるのならナッツぐらい我慢できる!」といったコメントもあった一方、「20列目の人のナッツの粉がどう6列目に届くの?人にやめさせるなんて、絶対にナシ!」など、賛否が分かれ、話題となった。
機内をナッツフリーにしてほしいというケリーさんの要望にも応じてくれる会社がある一方で、過去には「機内アナウンスをお願いしたら『ポリシーにはない』と拒否されたこともある」と明かす。

ケリーさんの活動は、過去のある体験に基づいている。
ケリーさん:
座席のトレーにうつ伏せて寝ていて、起きたら腕に酷い蕁麻疹反応が出てパニックになった。座席のトレーにナッツ(の粉末)が残っていたのだと思う。

以来、飛行機に乗る際には、座席を入念に拭き掃除しているという。
航空会社によって対応に差
こうしたアレルギーをもつ人に配慮して、イギリス最大手の航空会社「ブリティッシュエアウェイズ」は、機内で「(ナッツ)アレルギーのお客さまがご搭乗されています。恐れいりますが、ご自身でお持ちのピーナッツも含めお召し上がるのをお控えいただきますようどうぞご協力をお願いいたします」と、乗客にナッツを食べることを控えるよう求めるアナウンスをしている。

一方、日本の航空会社ではどうなのか。
肘掛けの表と裏を拭き取り、シートベルトは金具とストラップをゴシゴシ・・・。上の荷物棚は、取っ手を念入りに拭きとります。備えつけのカードは新しいものに。
重いピーナッツアレルギーの乗客などを対象に、事前に座席の周辺を清掃する「特別清掃」。全日空で対応したのは、2025年4月からのおよそ1年間で334件にのぼった。

また、「表示」が求められるアレルギー物質28品目に対応した機内食を用意している。機内で提供されるおつまみも、ナッツを一切使用していない。

機内で他の乗客にナッツの摂取を控えるようアナウンスはしていないという。
アレルギー患者のために、飛行機内ではナッツを食べないよう求めるべきなのか?

アレルギー研究の第一人者で、日本アレルギー学会理事長、海老沢元宏教授は「飛行機の中でナッツやピーナッツなどの小さなパッケージが開封すると、周りの乗客の人ですごくセンシティブな人がいると、呼吸系の症状が出たりとかということは起こり得ると思う」と指摘する。
