食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。

植野さんが紹介するのは「煮込みハンバーグ」。

東京・八王子にある洋食店「ことり亭」を訪れ、赤だし味噌を隠し味にした特製ソースのハンバーグに、牛すじや野菜の旨みが重なり合う看板メニューを紹介。会社員から料理の道へ転身し、40歳で念願の店を開いた店主の思いと店の歴史にも迫る。

学園都市・八王子の愛され洋食店

今回、やってきたのは新宿からJR中央線と横浜線で約1時間の八王子みなみ野駅。東京のベッドタウンとして発展してきた八王子は、大学・短期大学・高等専門学校が21校も集まる学園都市としての側面もある。

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八王子みなみ野駅から徒歩8分の場所にあるのが、思わず羽根を休めたくなる本格ログハウスが目を引く、洋食「ことり亭」。まるで森の中にいるように木の香りとぬくもりに包まれる店内はテーブルとカウンター、合わせて20席ある。

店主は買田雅洋さん。「ことり亭」は去年、開店から20周年を迎えた。ロールキャベツやオムライス、カレーと誰もが大好きな洋食を提供している。

焙煎ゴマと味噌のソースで奥行きある味わいの「ほろにが大人ハンバーグ」や、和風だしのやさしい旨みと甘みを含ませたソースをたっぷりふくませたロールキャベツ。

味噌や醤油、豆腐に豆乳など、和の調味料や食材が随所に活かされている。洋食と和食のいいとこどり。年配から子供まで幅広い世代に愛される店だ。

街と店が溶け込むように…店主の願い

「ことり亭」という名前の由来は、「家族みんなが鳥が好きなのもあるんですが、平仮名で“ことり”だと子供さんも覚えやすいし、鳥が枝に止まってゆっくり休めますように、という思いも込めて」と買田さん。

さらに、住宅街の中に店を開いた理由については、「私たちも同じ街の住民なので、街と店が溶け込んでいきたいという思いであえて選びました」と語った。

店主の買田雅洋さん
店主の買田雅洋さん

大学卒業後、会社員として働いていた買田さん。しかし、飲食に興味をもち35歳で退職し、料理の世界へ。昼は洋食店で修業、夜は調理師専門学校に通う。

ハードな毎日を送りながら、腕を磨いていった。そして40歳の時についに念願叶い、「ことり亭」を開店。

店内の本棚には絵本がずらり!
店内の本棚には絵本がずらり!

地元の家族連れに気軽に訪れて欲しいと、店内にはたくさんの絵本がある。「どうしても手作りだから待ち時間がかかるかもしれない。そういう時にお子さんが本棚の前に行って『これ読んで』と、料理を待つ時間も楽しい空間にしたい」と話した。

常連客からは「待ち時間に絵本読んだり、子供も楽しいしこちらも助かる」と大好評。開店から20年の節目を越え、暮らしに寄り添ってきた「ことり亭」。その優しくて美しいさえずりが今日も町に響く。

こちらが本日のお目当て、ことり亭の「煮込みハンバーグ」。 

一口食べた植野さんは「肉感がすごく感じるハンバーグ、色んな美味しさがぎゅっと詰まっている」と絶賛。

ことり亭「煮込みハンバーグ」レシピを紹介する。