食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。

植野さんが紹介するのは「アボカドナチョス」。

東京・高円寺にあるテックスメックス料理店「バーボンハウス」を訪れ、パリッと軽いトルティーヤチップスに、クリーミーなワカモレととろけるチーズがビールも進む店の名物を紹介。バンドマンから青果店の店員、そしてメキシコ料理店の店主へ転身した店主の歴史にも迫る。

サブカルの聖地・高円寺にあるメキシコ料理

JR中央線で新宿から6分、サブカルチャーの聖地・高円寺駅。北口のロータリーを抜けると見えてくるのが、約200店舗が集まる「高円寺純情商店街」。

古着店やライブハウスがひしめくこの街は、若者の熱気と、昔ながらの温かい下町情緒が混在している。

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そんな高円寺駅から徒歩2分、純情商店街に入ってすぐのビル2階にあるのが「テックスメックスダイナー バーボンハウス」だ。

店内は窓から商店街を見下ろせる開放的な空間が広がり、座席は全22席。棚にはバーボンやテキーラなど、強めのお酒が並んでいる。

メキシコ料理をベースにアメリカで発展

店主の島田功さん。みんなから店名の由来にもなっている「バーボンさん」と親しみを込めて呼ばれている。

バンド活動のかたわら市場の青果店に勤めていた経験もあり、新鮮な野菜をふんだんに使った料理は確かな目利きが生きている。

ここで味わえるのは、メキシコ料理の要素をベースにアメリカ・テキサス州で独自に発展した、濃厚で大胆な味付けが特徴の「テックスメックス料理」。

ランチタイムは野菜たっぷりの「メキシカンタコライス」や、5種類の中から好きなタコスが選べポテトも付いたタコスセットが人気。ほかにも、トーストされたトルティーヤを使った「アボカドのトスターダサラダ」など、彩り豊かで多彩なメニューを取り揃えている。

野菜をふんだんに使う「テックスメックス料理」は、酒との相性は抜群なのにヘルシーで罪悪感なく食べられると人気の店だ。

お客さんに歩み寄ったメキシコ料理

テックスメックス料理に行き付いた経緯を、「兄がメキシコでホテルマンをやっていまして、しょっちゅう(メキシコに)遊びに行っていたんです。もともと僕は八百屋で働いていて、“自分で飲食店をやりたいな”と思いついて。“野菜をふんだんに使えるもの”となったらメキシコ料理が1番ピッタリ来た」と島田さん。

よくメキシコに行き知識があったことと青果店に勤めていた経験が合わさり「テックスメックス」に行き着いたと振り返る。

しかし、きっかけになった青果店はもともと目指していた道ではなかったという。

「若者特有の“ロックスターになりたい”ということで、腰かけ的に働いていた」と島田さんは話す。

当時のバンド活動について聞かれると「とことんやって分かったことが、自分に才能がないこと。それが痛いほど分かって辞めました」と挫折を経験したという。

才能の限界を感じ、25歳で音楽の道は断念。しかし、自分で事業を起こしたいと考え2002年「バーボンハウス」を開店した。

当初は「テックスメックス」ではなく、本場に近いメキシコ料理を出していたそうだが「メキシコ料理って毎日食べるようなものでもないんです。自分に経験がない分、本格的に作り過ぎてお客さんからの支持が得られないものばかり作っていました。何とかしたいと思って、歩み寄ったメキシコ料理を続けている感じです」と語った。

その甲斐もあり、現在は高円寺の街になくてはならない店に。音楽の道は諦めても、全国のロックフェスや野外フェスにキッチンカーを出動。飲食を通してロックを応援している。

さらに、都内各地では従業員がキッチンカーを出店。タコスやタコライスを販売しているそうで、もしかすると、街のどこかで見かけたことがあるかもしれない。

こちらが本日のお目当て、バーボンハウスの「アボカドナチョス」。 

一口食べた植野さんは「塩味・甘味・酸味・辛味のバランスがすごく良い、スナックと料理の間くらいの感覚」と感動していた。

バーボンハウス「アボカドナチョス」レシピを紹介する。