カツオで有名な都道府県と言えば、消費量では高知県、漁獲高では静岡県だが、近海カツオ一本釣り漁の漁獲量では、宮崎県が31年連続日本一となっていることをご存じだろうか。日南市南郷町の「竜喜丸(たつよしまる)」は、カツオ一本釣り漁船として3年連続で漁獲高日本一に輝いた。テレビ宮崎で1年を通して放送した“カツオニュース”を振り返る。

“竜喜丸”が3年連続日本一

宮崎県日南市の「日南かつお一本釣り漁業」は、2021年2月、日本農業遺産に認定された。日本農業遺産は、農林水産省が国内の伝統的で重要な農林水産業システムを「農業遺産」として認定するもの。

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 「日南かつお一本釣り漁業」は、竿で一匹一匹釣り上げるため水産資源への負荷が少ない、300年以上続く伝統漁業であるとともに、造船材生産に特化した杉の人工造林を行った飫肥林業と共に発展してきた歴史もある。

このような一連の産業の文化やシステムなどが評価され、日本農業遺産の認定に至った。

南郷漁協に所属する近海カツオ一本釣り船「竜喜丸」は2025年、2月に出港して8か月以上にわたって漁を続け、10月下旬に漁を終えた。

全国で30隻以上の漁船が近海カツオ一本釣り漁を行う中、竜喜丸の漁獲高は6億5300万円(漁獲量1539トン)で、2位につけていた高知県の漁船と5000万円以上の差をつけ、3年連続で近海カツオ一本釣りの漁獲高日本一となった。

かつお船に乗ってみろかツアー

日南市南郷町にとって、カツオ一本釣り漁業は身近な存在だ。「かつお船に乗ってみろかツアー」「カツオ飯喰うてみろかツアー」など、市民にカツオについての理解を深めてもらおうという取り組みが頻繁に行われている。

毎年1月に行われる「かつお船に乗ってみろかツアー」は、日南市南郷町の目井津港で本物のカツオ漁船に実際に乗り込むことができる、人気のイベントだ。

2025年の体験会には日南市内の家族連れや県外の観光客などが参加。岸壁に停泊しているカツオ漁船に乗りこみ、機関室のエンジンや海中のカツオを探すソナーなどの説明を受けた。

また、約1キロの木製の模型を使った一本釣り体験も。参加者は、「おもしろかった。実際に釣竿を振らせてもらって、すごく難しいんだということを実感した」などと話していた。

「初かつお漁期到来宣言」

宮崎では全国に先駆けて、3月にカツオの水揚げが始まる。宮崎市の宮崎魚市場では毎年3月上旬の競りで「宮崎初かつお漁期到来宣言」を出して、カツオのシーズン到来をPRしている。

2025年3月3日は、日南市で水揚げされた1キロから7キロの初カツオ約5トンが競りにかけられ、最も高いものは1キロあたり1900円の高値で競り落とされた。

宮崎魚市場の黒木祐幸常務取締役は、「カツオの量が少ないので、高値がついたのでは。宮崎の名産なので、県民の皆さん、日本中の皆さんに、宮崎のカツオをぜひ食べていただきたい」と話していた。

空港で「オール日南フェア」

3月は、PRイベントが盛りだくさんだ。宮崎ブーゲンビリア空港では「オール日南フェア」が初めて開催された。日南市内の飲食店など15の店舗が出店。

日南市で水揚げされたカツオの身が ゴロゴロ入っているカレー。伊勢海老お茶漬けや日南どれの柑橘類などとともに店に並んだ。

また、ここでもカツオの一本釣りを体験できるコーナーが設置された。

森山裕香子記者:
重い!とっても重いです、カツオ!

南郷かつおめしフェア

ご当地・日南市では約1ヶ月にわたって「南郷かつおめしフェア」が行われる。

日南市南郷町の4つの飲食店で、新鮮な初ガツオを使った独自のカツオめし定食を1000円で提供した。

「かつおめし」とは、しょうゆダレに漬け込んだカツオの切り身をごはんに乗せ、熱いお茶やだし汁などをかけて食べる「漁師めし」だ。

日南の季節の風物詩となっていて、県内外から多くの人が訪れる。 

客:
毎年、日南の友人から「かつおめしのシーズンが来るよ」と連絡が来て、休みを合わせて来ています。

カツオが2人の間を深くつないでいるのかもしれない…。

宮崎市でも「日南初かつおフェア」

同じく3月、宮崎市の大型商業施設・イオン宮崎店では、新鮮な初カツオの刺身や握り寿司、丼などを販売、初カツオのふるまいなどが行われた。

客:
おいしいですね、やっぱり、初カツオは。プリプリしておいしい。

日南市水産林政課の藤浦航さんは「モチモチした食感と味が濃いのが特徴。日南のカツオの魅力をぜひ堪能してほしい」と話していた。

地元では「うみっこかあちゃんお中元セット」

イベントだけでなく、カツオは地元の特産品のひとつとなっている。夏のお中元シーズンには、日南市漁協女性部「うみっこかあちゃん」が、地どれの新鮮な魚でつくった加工品の詰め合わせセットを販売している。

ギフトセットは、独自の醤油ダレで煮込んだ「カツオうみっこ節」や「まぐろフレーク」、シイラのすり身を揚げた「おおどつ天」などの詰め合わせ。数量限定で販売される。

店頭にはギフトセットを県外で暮らす家族などに贈ろうと、多くの買い物客が訪れていた。

客(宮崎市から):
毎年、県外の息子と娘に送っている。いつも孫たちが魚が好きで喜んで食べている。

客(日南市):
地元(日南)にいた人たちがよそに行っているので、なかなか東京や大阪で食べられないので大変喜ばれる。

2か月に1度の「なんごう日の出市」

目井津港では、2カ月に1回「なんごう日の出市」が開かれていて、ここでもカツオは目玉商品だ。8月は約20の商店などが出店。とれたての魚などを扱うコーナーには行列もできていた。

100食限定の名物「朝市ごはん」は、かつおカレーと海鮮みそ汁。

会場では、夏休みで帰省してきた家族と一緒に朝市を楽しむ光景が見られた。

食育講座「カツオさばき・かつおめし作り体験」

カツオは地元の小学生たちの「食育」にも生かされている。10月、日南市の小学生が「かつおめし」づくりに挑戦した。

食育の一環として「かつおめし」づくりを体験したのは、細田小学校の5・6年生の6人。児童たちは食育ティーチャーなどに教わりながら、日南市大堂津で水揚げされたカツオを包丁で3枚におろし、皮をはいでいった。

薄めに切ったカツオをしょうゆとすりごまなどで作ったタレに漬け込み、ごはんに乗せたら完成!

児童:
おいしい。自分で作ったから特においしい。

児童:
難しかったけど、とてもおいしいから達成感がある。

日南市南郷町にとって、カツオは地域に根差した食文化として愛され続けている。そんな中、2025年のカツオ漁には例年にない変化が起きていた。

県南那珂森林振興局水産担当 宮原一旗さん:
例年はこの時期、東北の三陸沖で漁をするが、今年はそちらが不漁ということで、九州近海、宮崎沖、鹿児島沖で漁をしている状況。

近海カツオ一本釣り漁は例年11月頃まで続くが、2025年は不漁の影響で10月までに漁を終了したということだ。

3年連続の日本一に輝いた「竜喜丸」は、そんな異変にいち早く反応し、既に7月から漁場を変えていた。

日髙船頭は、今年は黒潮の蛇行が原因で、漁場に変化があったと振り返った。

竜喜丸 日髙陽祐船頭:
今年は三陸沖になかなかカツオの群れがいなくて、それを自分たちは見切って7月から九州の方で漁をしたのが良かったんじゃないかなと思う。(2026年も)1航海1航海一生懸命やって、結果4連覇できたらいいなと思っている。

ここで、竜喜丸の活躍を振り返る。

2023年、それまで11年連続で日本一だった高知県の佐賀明神丸を上回る6億3800万円で初の日本一に輝いた。2月から11月の10カ月間、南はグアム沖から北は北海道沖まで漁にでかけかつおやビンチヨウマグロなどを一本釣り。1回の漁で3日から1週間海の上で過ごし、延べ85回、漁に出た。

その後、2024年に6億7500万円、2025年は、カツオ漁が不漁と言われる中で6億5300万円と、安定して6億円以上の漁獲高をあげ、3年連続の日本一を達成している。

2026年も2月から漁に出る予定だが、海の環境が変化する中、どのような活躍を見せてくれるのか。4年連続の日本一を期待したい。
(テレビ宮崎)

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