宮崎で開発された文房具「ichi-clip(イチクリップ)」がヨーロッパの国際デザイン賞「BIG SEE 2025」でグランプリを受賞した。アジア初の快挙だ。開発した企業の代表は、物価高や電子化が進む現代においても「残るものは残る」「日本人はもっと自信をもって海外に出ていい」と、モノづくりへの情熱を燃やしている。
国際デザイン賞でグランプリ「ichi-clip」とは

受賞したクリップ「ichi-clip」。3年前には日本のグッドデザイン賞を受賞している。

このクリップは、紙に挟む際に簡単にセットできるだけでなく、回転させることで挟む力を調節できる点が特徴だ。

まさに『使いやすく美しい道具』として、その機能性が高く評価された。

このクリップを開発した宮崎市の合同会社フードマークの代表・広本秀一さん(58)に話を聞いた。

国際デザイン賞「BIG SEE 2025」とは、どんな賞なのだろうか。
広本秀一さん:
スロベニアを拠点に、ヨーロッパの建築やインテリアなどプロダクトデザインを表彰するアワードと聞いている。

広本秀一さん:
元々輸出をしたいというのがあったが、まさかグランプリを取れるとは思ってなかった。向こうの審査員からは「非常にシンプルで、それに機能性が備わっていることを高く評価しました」とおっしゃってくださった。

そして記念の盾は、なんと電球!国際デザイン賞らしい、驚きのデザインだ。

Q.社会情勢の変化によるモノづくりへの影響は?
広本秀一さん:
物価高や急激な電子化が進んできて、ペーパーレスというのも言われてきたけど、そういった中でも、残るものは残るんだなと。海外に行って一番言われたのは、「これどこで作っているんだ」と。
(海外では)メイドインジャパンのものはクオリティが高いと思っているので、モノづくりという観点からすると、日本人はもっと自信をもって海外に出ていいし、優位性を持っていいんじゃないかと感じた。
新商品開発と未来への挑戦

フードマークでは、12月に新たな商品としてキーリングの発売を予定している。このキーリングは、ばねの力を使って片手で簡単に着脱できる。

広本さんは、メーカーの協力があってこその製品開発であり、「モノづくりの大切さを学ばせてもらっている」と話す。

広本秀一さん:
会社を作って10年になる。自分で終わりを決めないで、ずっと夢を持つと元気にもなるし、いろいろつなげていけるんじゃないかなと思う。

同社は元々、地元の農水産物を乾燥させた商品の販売を主軸としていたが、新型コロナウイルスの流行による売上激減を機に、このクリップの開発に着手した。
会社のスローガンである「ありそうでなかったものを形にして小さな驚きを提供する」ことを目標に、宮崎から世界への挑戦は続く。
(テレビ宮崎)