12月19日から行われる全日本フィギュアスケート選手権。今年は4年に一度のオリンピックの最終選考会を兼ねている。全てが決まる大舞台に挑む、3人のスケーターがいる。
北京五輪銀メダリストの鍵山優真(22)、昨季世界選手権初出場を果たした佐藤駿(21)、そして、23年四大陸・世界ジュニア王者の三浦佳生(20)だ。
関東を拠点としている3人は、幼いころから競い合うライバルであり良き仲間。
来るオリンピックシーズン、3人が誓ったのは「3人でオリンピックを目指す」こと。それぞれの現在地に迫る。
絶対に1枠目を獲得したい!連覇狙う新エース
「僕としては絶対にオリンピックの1枠目を獲得したい思いがすごく強い。全日本選手権では完全優勝を目指している」
全日本のその先へ――。常に向上心を抱き続けるのが、鍵山優真だ。
18歳で初出場を果たした北京五輪。ともに挑んだ羽生結弦さんや宇野昌磨らをおさえ、銀メダル獲得という快挙を遂げた。
鍵山を進化させるのは、その飽くなき向上心。
2シーズン前、父・正和コーチに加え新たにカロリーナ・コストナー氏を迎えた。ミラノ・コルティナ五輪を見据え、表現力のさらなる強化に着手した。
その成果が発揮されたのは、12月に行われたGPファイナル。
ショートで会心の演技を披露し、北京五輪で出した自己ベストを更新する108.77点のビックスコアをマーク。さらに、プログラムコンポーネンツでは10点満点を獲得した。
この4年間を鍵山はこう振り返る。
「自分が想定していた部分と想定していなかった部分の、いろいろな経験ができた4年間だと思っています。北京シーズンでは順調に、結果や自分の納得できるパフォーマンスができたり、すごく良いシーズンでした。その次のシーズンでケガをしてしまったり、そこからまた復帰して、さらにその翌年にはなかなか気持ちの面で上手くいかなかったり。
上手くいっていなかった方が自分では大きいですが、でもそういう経験をたくさんできたからこそ学ぶものもすごく大きくて。全て吸収して初心に戻れたみたいなシーズンでもある。スケーターとしても、人としても、成長できたんじゃないかなと思っています」
鍵山が見据えるのは、“五輪での金メダル”。そのためには、いち早く夢舞台への切符を手に入れたい。
「ショートもフリーも絶対に自分に打ち勝つすごい覚悟で臨まないといけない。全日本はどの大会よりもすごく緊張するし、独特な緊張感や空気感があって、今までも押しつぶされそうになったことが何回もある。
自分のやるべきことを見失わずに落ち着いて、でもみんなが強い思いでいろいろな目標を持って臨むと思うので、自分が絶対にオリンピックに行くんだという強い気持ちが大事だと感じています」
至極のジャンプとスケーティングが合わさった演技で、一発内定へと突き進む。
