12月19日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。今大会は来年のミラノ・コルティナ五輪の代表選考会を兼ねている。
そんな大舞台で「完璧な演技をして」代表の座の獲得を狙うのが、坂本花織(25)だ。
全日本では4連覇を成し遂げ、世界選手権では3連覇を達成。2022年の北京オリンピックでは銅メダルを獲得している。
21年間指導を受けている中野園子コーチと二人三脚で目指す、最後のシーズンを追う。
21年間のスケート人生を表現する難しさ
今季GPシリーズ2戦に参戦した坂本は、フランス大会で2位、NHK杯で優勝。しかし、GPファイナルではショートで5位と出遅れてしまう。悔しそうに涙を流す場面もあったが、フリーで巻き返し3位表彰台にのぼった。
11月上旬のインタビューでは「自分を表現すること」の難しさを感じていた坂本。
「今回のショートもフリーも自分自身のストーリーをプログラムにしている。そうなると、自分ってそうやって生きてきたっけ…?とか思ったらもうわからなくなって。
映画みたいに見返せるわけじゃないし、自分で感じたことややってきたことを思い返さないと表現ができないので難しい。自分はここで何を表現したいのだろうと…。でもそれが1つずつクリアになってきているので、あともうちょい」
ショート『Time To Say Goodbye』、フリーは『愛の讃歌』。どちらのプログラムも、中野コーチは「感動するプログラムにしたい」と考えているという。
なかでもフリーは21年間のスケート人生を表現しているプログラム。坂本は「ただ滑ってきたわけじゃない」という自分がこれまでしてきた経験を振り返り、それを演技に落とし込む大変さを感じたと話す。
「いいことばかりじゃなかったし、ケガをしたり、世界選手権で優勝できたり、オリンピックでメダルを獲れたり、その喜びももちろんあるし、コロナ禍には自分は元気なのに滑ることができなくなってしまう経験もした。
ただただ滑ってきたわけじゃない21年間だったので、それを思うといろいろな経験をしてきたなって。4分じゃおさまりきれないけど、なんとか絞り込んで、1つ1つがじっくりというより走馬灯のように流れていくような、見ていたらいろいろなシーンを思い返すようなプログラムになったら」
「運はいいほう」と語る坂本
そう話す坂本だがかつて「今までの輝かしい栄光は全部運です」と言っていた。
