熊本市東区にある熊本市動植物園では、2029年に迎える開園100周年に向け、園内の整備が進んでいる。それに伴う工事などの影響で今後1年半ほどはゾウやキリンを、観覧することができなくなった。人気者たちとしばしのお別れとなる最後の週末、その姿を一目見ようと多くの人が足を運んでいた。

100周年へ園内整備 会えなくなる動物も

熊本市動植物園の人気者、アフリカゾウとマサイキリンの前では、エサを食べる姿を前に「ゾウさーん」、「キリンさーん、おいしいですかー」と声をかけていた。

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2029年に開園100周年を迎える熊本市動植物園は、本来の生息環境に近づけた展示で動物を楽しむことができる『サバンナエリア』の整備を進めている。その整備に伴う工事が本格的に始まったため、ゾウやキリンを含む約10種類の動物が11月5日から、約1年4カ月の間、観覧できなくなっている。

観覧が最後となる11月3日は、園内で「本日が観覧できる最終日となります。ぜひ今のうちに会いに行ってください」とアナウンスが流れ、ゾウやキリンを一目見ようと訪れた多くの人でにぎわっていた。

来園者は「ゾウとキリン(を見に来た)かわいい、鼻」や「ゾウが最後だから〈記念に〉と思って。小さいころから見ていたゾウなので、最後に一緒に見られて良かったなと思う」と話し、「しばらく会えないから描いとこうと思って。模様にこだわって描いてみた。会えなくなるのが、ちょっと寂しい」とキリンの絵を描く子どもの姿もあった。

また、11月1日から3日には動植物園が特別に『餌やり体験』を企画。募集枠66組に対して531組が応募するほどの大人気で、約8倍の倍率から当選した家族連れがゾウの餌やりを体験していた。

エサやりを体験した人は「楽しかったです。(手が)べちょべちょ」や「ヌルっとしていた。初めて(ゾウに)触った。ゴツゴツしていて良かったです」と、ゾウとの貴重な触れ合いを楽しんだようだった。

夏に生まれたばかりの心夏の成長も

一方、2025年7月に生まれたばかりのマサイキリンの心夏(ココナツ)。1メートル70センチで生まれ、その後、すくすくと育ち、今では2メートル近くに成長している。

飼育員の柴田勇己さんは「(心夏は)飼育員にも近づいてきます。コナツ(母)と一緒にご飯を食べることも多くなってきている。独り立ちしてきているかな。(観覧できない期間で)1メートル近くは伸びると思うので、みなさんが見られるころには3メートル近くになるかな」と話す。

最終日に訪れた人たちも「一昨日も来たけど〈最後だから〉と思って。かわいくて仕方がない」や「赤ちゃんキリンが小さいうちに見られたから、よかったかなと思います。また次、大きくなるのが楽しみです」と話す。

園外から成長の様子見られる場所も

一方で、園内で心夏の成長の姿は1年以上見ることはできないが、園の外からは元気な姿を眺めることができる。

熊本市動植物園の松本充史園長は「地震の際は全面閉園していましたが、外から見られるのがゾウとキリンだったので、外から見に来てくれる客がずっといたのも思い出深いところかな」と話す。

2016年に起きた熊本地震では熊本市動植物園も甚大な被害を受け、部分開園が始まるまでの約10カ月間は全面閉園し、園内の動物の姿を見ることができなかった。その際、唯一元気な姿を見られたのが、園外からのゾウやキリンの姿だった。

松本園長は「『外から見てください』っていうのも変な話なのですが、元気に暮らしている姿を見てもらえるように、飼育員も健康を守りながらしっかりやっていきたいと考えています」と話す。

100周年に向けて大きく生まれ変わる熊本市動植物園。再び園内でゾウやキリンに会えるのは2027年3月ごろの予定だ。

(テレビ熊本)

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