リサイクル生地で作られ、軽くて機能的なランドセルが注目されている。体を締め付けないことから、障害がある子どもにも喜ばれている。開発者や利用者に話を聞いた。

ニューランドの済々黌キナセン通学BAGも

2025年9月、晴天に恵まれた熊本県立済々黌高校の文化祭に、保護者や卒業生のほか、家族連れなど多くの人が訪れていた。済々黌の代名詞といえるのが学生帽や制服、校舎の正面に入っている黄色い線、いわゆる『キナセン』だ。

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その『キナセン』が入ったバッグが、売店の一角に展示されていた。『済々黌キナセン通学BAG』だ。このバッグ、中高生から大人まで使えるLサイズのランドセルで、弁当箱が固定できるようになっている。

ブランド名は『ニューランド』。リサイクル生地で作った布製のランドセルとして、2021年に登場し、SNSなどで話題となった。重さは、892グラム。東京に本社を置く『RANAOS』が販売していて、2025年5月に初めて熊本市で展示会を開いた。

布製のランドセルの魅力 拡張機能も

RANAOSの岡本直子代表は「一般的なランドセルは革や合皮で作るんですが、ニューランドは布でできていますので、通常のランドセルより軽い」と話す。

ただ、軽いだけでないのがニューランドで、岡本代表は「軽いけれども、たくさんのポケットがあったり、人気なのがこの拡張機能。大人のスーツケースとかでもよく見ると思うんですが、荷物の多い時に、体操着とか上履き、給食袋が入るんです。フラップが取り外しできて、外すと200グラムぐらい軽くなるので、校外学習とかちょっとした旅行とか、そのまま使えるので1つで2個分」と魅力を語る。

来場者も「上のお兄ちゃんもこれを使っていて、通学が30分くらいかかるので、〈軽いほうがいいかな〉と思って、下の子もこれにしました」と話す。

鹿児島から来場した家族は「鹿児島(のデパート)でニューランドが出したので(上の子のランドセルを)買いに行って、すごくよかったので、下の子にも買ってあげたいと思って」と話した。

「重いランドセルを何とかしたい」

開発のきっかけは、岡本代表の小学1年生の長男が、猛暑の中、重いランドセルを背負っているのを見て、〈何とかしたい〉と思ったことだった。そして、子どもたちや母親たちからさまざまな意見を聞いて「軽さ」「大容量」「中身の出しやすさ」「丈夫さ」「デザイン」をキーワードに新しいランドセルを作り上げた。

「どんな子どもでも使いやすい」を目指した結果、障害がある子どもや特別な配慮が必要な子どもの家庭にも口コミで広がったという。

熊本県立菊池支援学校4年生の西田いろはさん。入学前に自宅で使い心地を確かめるレンタルサービスを利用した。母・まさ子さんは「『できるだけ軽いランドセルを選びたい』というふうに入学前は話し合って、いろいろ情報を集めていました。筋力が弱く、体格も小さかったので、〈背負えるのかな〉という不安がありましたね」と話す。

また、父・淳一さんは「背負うタイプのバッグと、この部分の柔らかさは似ているじゃないですか。だから割とスムーズに。背負い心地は近いんじゃないかな」と言い、母・まさ子さんも「鏡の前で背負ってピョンピョン跳ねて、うれしそうにしていました」という。

ニューランドのランドセルは利用者のさまざまな声を取り入れて、2025年は留め具を変えた商品を出すなど使いやすさを追求していという。

(テレビ熊本)

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