香川県高松市に2025年2月、中四国最大級のメインアリーナを備える新施設がオープンした。オープン以来の動きを振り返りながら今後の課題を考える。
2月に誕生した「あなぶきアリーナ香川」葉加瀬太郎さんらが開業行事に
2月24日、香川県・池田豊人知事の「香川県立アリーナ、開館いたします」との言葉とともに、大きな期待を受けてオープンした「あなぶきアリーナ香川」。
セレモニーでは香川県ゆかりの著名人のメッセージや、バイオリニストの葉加瀬太郎さんを招いた音楽ステージなどで船出を祝った。池田知事は「全国、世界の中でここが、人が行き交う1つの大きい核になるような場所になれば」と、期待感を示した。

こけら落としは「サザンオールスターズ」のライブ 5月には「TGC」
アリーナはオープン早々、まさに「にぎわいの核」となる片鱗をみせた。
こけら落としではサザンオールスターズのライブが行われ、最大収容人数1万人という中四国最大級のメインアリーナを持つその存在感を示した。
3月にはプロジェクションマッピングが行われ、3日間で約3万3000人が来場。5月には東京ガールズコレクション(TGC)が華々しく開催、アリーナは若者たちの歓声に包まれた。

近隣に大学も移転…27年には高級ホテルがオープン予定
アリーナの誕生を皮切りに、周辺環境も変化。高松市中心部の姿が変わりつつある。
アリーナのオープンに合わせて周辺の道路は歩行者天国化されたり、歩道を広げたりして歩きやすい環境が整備された。
4月にはJR高松駅の横に徳島文理大学が移転、学生や教職員、約1500人が集う新たな拠点がアリーナの近くにできた。
さらに周辺では高級ホテルの「マンダリンオリエンタル瀬戸内」が2027年にオープン予定。アリーナ周辺の環境はさらなる盛り上がりを予感させる。

「クリスマスマーケット」も初開催夜型観光の「核」としての狙いも
香川県の池田豊人知事はオープンからここまでの動きについて「総括的にはアリーナは集客力が高いと期待していたが、期待以上の集客力を発揮している」と評価した。
10月には2回目のプロジェクションマッピングが行われ、3日間で約5万2000人が訪れた。さらに12月12日からはクリスマスマーケットが行われた。
県としては夜型観光の核としてもアリーナを活用したい考え。

まちづくりに詳しい専門家は?
都市計画やまちづくりに詳しい香川大学経済学部の西成典久教授は、ここまでのアリーナの動きについて「アリーナができて海側に人流が変わった。これまでになかったような高松駅前の光景やそれがまちなかに波及したり、アリーナができたことでこれまでになかった都市のにぎわいや人流が生み出されてきている」と評価した。
そのうえで、さらなるにぎわいの拡大には飲食店やカフェ、物販店などの周辺施設の整備が必要だと指摘する。
「ここにしかない。ここでしか見られない。ここでしか体験できない」と、アリーナ周辺ならではの店舗開発やコンセプトの作り方、経営だけではなくて空間・デザインも含めて総合的に考えていく必要があるという。

2026年以降、アリーナ周辺では中央商店街との直行バスの運行やイルミネーションの展開も期待されている。
「アリーナが世界の人から目印になるような、瀬戸の、香川の高松にあのアリーナがあるなと目印になるような施設にさらに発展させたい」と池田知事。オープン元年とあって話題に事欠かなかった「あなぶきアリーナ香川」。にぎわいづくりの「核」として真価が問われる2年目の新たな年がやってくる。
(岡山放送)
