急いで動物病院に連れて行くも、獣医師からは「肋骨が4本折れ、肺に穴が開いている状態」という言葉が。さらに「猫エイズの陽性反応も出た」とも告げられた。
幸いにも手術は無事成功。退院後は傷口の消毒が終わるまで、いったん濵口さんの家で保護することに。しかし、既に家で猫を4匹飼っており、猫エイズへの感染のリスクから家猫として迎えいれることは難しかった。
動物好きの他の職員も同様に、既に猫を飼っていたため、受け入れ先は見つからなかった。
そこで濵口さんは施設で飼うことができないか、施設長に打診することを決意。
「この子がどこかで幸せに生きることができたらいいなって」
名前は「むれさき苑」の頭文字をとって、むーちゃんと名付けた。
利用者さんの心をわしづかみに
濵口さんと施設長とで協議を重ねる間も、時折、施設へと連れてきていたむーちゃん。
迷い込んできた当初から、とても人懐っこい性格だったというむーちゃんは、利用者さんのもとへ自らすり寄りに行ったり、膝の上に乗ったりして、瞬く間にファンを増やしていった。
「『こんなに触らせてくれる猫は初めて』『ここに来てくれたらうれしい』とたくさん言われました」
このような声も後押しになったのか、2023年9月、むーちゃんは看板猫“むー隊長”として迎え入れられることになった。
