マイナ保険証の県内利用率は45%にとどまる
健康保険証の時代がいよいよ終わろうとしている。去年12月に新規発行が廃止された健康保険証だが、今年12月2日以降は「発行」だけでなく「利用」もできなくなる。代わりに、マイナンバーカードを使った「マイナ保険証」への移行が進められているが、富山県内での利用率はまだ45%程度にとどまっている。
病院の受付がスムーズに


富山西総合病院の受付窓口には、マイナンバーカードを読み取るための端末が設置されている。マイナンバーカードを健康保険証として登録している人は、端末にカードをかざして顔認証をするだけで医療保険の資格確認ができ、スムーズに受付を済ませることができる。

「マイナ保険証使っています。ラクですよ」と利用者は話す。
しかし、まだマイナ保険証に切り替えていない人も多い。病院内では「まだ全然やっていなくて切り替えなきゃなと思いながら後回しになっている」という声も聞かれた。
健康保険証の使用期限

政府が進めるマイナ保険証への移行において、自営業者やその家族などが加入する「国民健康保険」ではすでに今年8月から従来の保険証が使えなくなり、原則マイナ保険証に移行している。そして今年12月2日以降は、会社員やその家族が加入する「健康保険」でも保険証が使用できなくなる。

厚生労働省によると、県内のマイナ保険証の利用率は9月時点で45.19%。富山西総合病院での利用率も約50%となっている。
病院側も窓口混乱を懸念
富山西総合病院の藤田哲朗事務長は12月以降の窓口の混乱を懸念している。

「いままでと違うカードになっていることを知らずに、今まで通りの感覚で来られると病院で保険証確認ができないということがある」「ポツポツと初めてマイナンバーカードで受診する人がいるときは個別対応できたが、たくさんいらっしゃると窓口が混乱する可能性があるので心配」と話す。
「資格確認書」は将来的に廃止したい考え

全国健康保険協会(協会けんぽ)富山支部では、余裕を持ったマイナ保険証への登録を呼びかけている。

県内の中小企業に勤める会社員やその家族などおよそ38万人が加入する協会けんぽでは、マイナ保険証に登録していない人が引き続き保険診療を受けられるよう、今年7月から「資格確認書」と呼ばれる証明書を発行した。

その数は加入者の4分の1にあたる約9万人分に上る。
資格確認書は最長5年間有効だが、協会けんぽでは将来的には廃止したい考えで、マイナ保険証への移行を促している。

協会けんぽ富山支部の熊野隆浩さんは「マイナ保険証の利用率が上がっていって、すべてマイナ保険証に移行できれば資格確認書は廃止したい方向」「利便性の面から言ってもマイナ保険証の登録についてはしていただきたいと思っている。できれば資格確認書は減らしていきたいと考えている」と話す。
マイナ保険証の登録は簡単、メリットも多数
マイナ保険証への登録は、マイナンバーカードを持っていれば、医療機関に設置されている端末を使って10秒程度で完了する。マイナ保険証を利用すれば、病院の受付がスムーズになるだけでなく、初めての医療機関でも特定健診の情報や今までに使った薬剤情報を医師と共有できるといったメリットもある。

病院の担当者は、マイナンバーカードの電子証明書の期限が切れていないか事前に確認し、余裕を持ってマイナ保険証に切り替えるよう呼びかけている。
