過去の取材で「20年なにも起こしてない」

その後、次男が20歳となる2014年ごろのこと。
公安調査庁が「教団の組織運営を主導し始めた」としているこの時期に、FNNは、テレビで唯一、次男を、親族と共に、取材していた。

親族:
ちょっと話したいことがあるんだけど

次男:
あのね、私はあなたの弟のつもりでいるわけ。家族としてなら話すつもりはあるけど、マスコミとは話すつもりはない。

親族:
だけどね、誰かが一緒にいないと、危ない教団に関わっているのは事実でしょ。

次男:
なにが危ないの?ここ20年なにも一切起こしてないのに

親族:
起こしているでしょ、(教団は)刑事事件だって起こしているじゃないの

次男:
ああもう、とりあえずいいです。閉めるよ。ドアに挟まるから危ないよ。

こう話した後、次男は車で立ち去った。

当時から、ほとんど外出することのなかった次男。その自宅には、教団の幹部が出入りしており、後継の有力候補として教団に庇護されていたことも伺えた。

次男とされる肉声を独自鑑定

今回、私たちが新たに入手した音声の主は本当に、この次男のものなのか。司法機関の要請で音声分析も行っている専門家に、鑑定を依頼した。

音声の同一性を鑑定するためには、同じ単語で声の特徴を比較する必要がある。2014年に取材した際と共通して発していた単語が3つあった。

それぞれの音声に含まれた「マスコミ」「私は」「情報」という3つの単語で比較すると、次のような鑑定結果が得られた。

「同一人である可能性が高いと判断するのが妥当」

また、次男の声を聞いたことがある複数の関係者への取材でも、この音声が次男のものであることが裏付けられた。

反乱分子に「ゴキブリ」

教団内で次男が支配力を高めようとしていることがうかがえる、音声ファイル。

さらに内容を確認すると、教団に義務づけられている公安調査庁への資産などの報告について信じられないやりとりが。

信者とみられる男性が報告をどうするか訪ねると、「相手の出方が読めないんだったらロジックは簡単だ。徹底抗戦か靴なめるか、どっちかしかないんだよ」などと、報告しないことを貫くよう促していた。

一方で、内部で反発が起きていることをうかがわせる会話も。

「わたしはものすごく深く関わっているんだ」

「どれだけ施設内にゴキブリが増えているかも知っているくらいには関わっているよ」

自分に従わない信者をゴキブリと表現し、警戒していた。