子どもを望みながらも病気で妊娠できない女性などに代わり、別の女性が子どもを産む「代理出産」。海外では制度化や禁止などルールが設けられている国がある一方、日本では明確なルールがないまま議論が続いている。
2000年前後に国内で議論が広がったものの、宙づりのまま、四半世紀が過ぎようとしている。これまでの議論の流れを振り返るとともに、代理出産をめぐる専門家らの考えを聞いた。

代理出産への懸念

この問題をめぐっては、導入を求める声がある一方で、さまざまな倫理的・法的な懸念が指摘されてきた。

経済的に困窮した女性が代理母を務める構図が搾取に繋がるのではないか。

生まれてくる子どもの法的立場をどう考えるのか。

出産のリスクを第三者に負わせることに倫理的な問題はないのか。

「代理出産」の仕組み
「代理出産」の仕組み
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こうした懸念から、日本産科婦人科学会は代理出産を禁止する方針を示してきた。国の専門委員会も2000年、「禁止すべき」という報告書をまとめていた。

“禁止方針”に反した医師への批判

そんな代理出産が広く耳目を集めたのは、2001年。

長野県の産婦人科医、根津八紘医師が、妻が妊娠できない夫婦のために代理出産を実施したことを公表すると、「倫理観が欠如している」などの批判が殺到。報道も過熱した。

根津八紘医師
根津八紘医師

その後、2003年5月に国の審議会が改めて「禁止」の方針を示し、日本産科婦人科学会も再検討の余地はあるとしつつ、「実施を認めない」とする会告を出した。

もっとも、これらはいずれも“方針”にとどまり、法律による“禁止”は設けられなかった。