佐賀県警科捜研の不正なDNA鑑定で警察庁が佐賀県警の「特別監察」を始めた。DNA鑑定の実施体制や不適切事案の原因などを確認するとしているが、身内による内部調査に過ぎないとの不信感と批判は絶えない。

警察庁の首席監察官らが佐賀県警入り

特別監察は、佐賀県警の科捜研職員が7年間にわたり130件にのぼる不正なDNA鑑定を行っていた問題を受けて実施されることになった。

「特別監察」のため佐賀県警に入る警察庁の首席監察官ら
「特別監察」のため佐賀県警に入る警察庁の首席監察官ら
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警察庁によると、特別監察の実施は、記録上確認できる2012年以降、全国で5回目。

10月8日、特別監察のため佐賀県警に入ったのは、警察庁の首席監察官や犯罪鑑識官など11人。

特別監察では、DNA鑑定の実施体制と実施状況、不適切な事案の原因分析と再発防止策を確認するとしている。

「必要があれば時間をかけて聴取」

この日の特別監察の後、警察庁の片倉秀樹首席監察官が報道陣の取材に応じ、次のように述べた。

警察庁 片倉秀樹 首席監察官:
本部長室で本部長から今回の事案の調査状況や再発防止策など全体的な状況について聴取いたしました。また、本日のみならず別途またこちらに出張しまして、状況の確認を予定しておりますので、さらに必要があれば、時間をかけてまた聴取したいと考えております

警察庁は今回の特別監察の結果を踏まえながら、今後、他の都道府県の科学捜査研究所についても順次、監察を実施するとしている。

“身内の内部調査”に批判と不信感

今回の特別監察を受け、佐賀県弁護士会は、「特別監察はあくまでも警察組織内部での監察であり、第三者による調査ではない」とコメントを発表。佐賀県警に対し、第三者による調査の実施や監察の透明性確保などを求めた。

また、62年前に埼玉県狭山市で起きた殺人事件の冤罪などを訴える県内の市民団体が、佐賀県警本部を訪れ、独立した第三者委員会の設置などを求める要請文を手渡した。

狭山問題を考える佐賀住民の会の藤岡直登会長は、「冤罪被害者の意見を反映させてほしい。特別監察は結局身内で、“なあなあ”という結果になるのではないか」と特別監察への不信感を語った。

佐賀県警はこれまで、「守秘義務が課され、第三者性を有する県公安委員会が適切」などとして、第三者委員会の設置は「必要ない」との見解を繰り返しているが、身内による内部調査に過ぎないとの不信感と批判は絶えない。

サガテレビ
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