「おとなしくて目立たない桑野」
続いて取材班は桑野容疑者の地元である東京・府中市に向かった。
小学校から中学校まで桑野容疑者と同じ学校に通っていた人は…。

小・中学校の同学年:
学校では全く目立つ子ではありませんでした。
性格はすごく温厚で、カッとなることもないし誰かとケンカをしているところを見たこともないです。
友達はそんなに多くなかったと思います。
桑野容疑者の少年時代については両親もカメラの前で説明していた。

桑野容疑者の母親:
友達を作るのは苦手でしたね。自分から友達を誘うとかはなかなかできない。きっと友達に聞けば『おとなしくて目立たない桑野』って印象だと思うんです。

温厚な性格で人付き合いが苦手だったという桑野容疑者。何が犯行へと突き動かしたのか。
桑野容疑者が通っていた高校は2004年に隣の多摩市の高校と統合し、現在は別の高校となっていた。
大学卒業後は一般企業に就職した桑野容疑者。
「表情がなくなってきた」
しかし、社会人になっても苦手な人付き合いを克服することは出来なかったという。

桑野容疑者の母親:
会社の中でうまくいかないことがあって、会社辞めたいってこともあって辞めました。派遣社員のところを決めて町田で働き出した。
両親はその頃から桑野容疑者の様子が徐々に変化していったと話す。

桑野容疑者の母親:
本人は一生懸命仕事をしていたと思うんですけど表情がだんだんつらい顔に…、表情がなくなってきて…。
仕事に馴染めず思い詰めていたといい、時折、愚痴をこぼす場面もみられたといいます。

桑野容疑者の母親:
だんだん派遣の会社の仕事がキツくなってるってこととか、あの会社は人使いが荒いとかそういうことはちょこちょこ(聞いていた)。
“孤立”と“劣等感”を専門家が指摘
こうした過去が、いかにして事件へとつながっていったのか。
心理学が専門の関西国際大学・中山誠教授は、“孤立”が犯罪につながるケースがあると指摘する。

関西国際大学心理学部・中山誠教授:
周りから相手にしてもらえなくなるというか人間関係が孤立するというか、最後は自暴自棄になって犯行に及ぶというケースは多いですね。
経済的孤立、人間関係の行き詰まり、そして最後は自暴自棄、3要素は必ずあります。
事件が起きる直前に桑野容疑者の隣の部屋の住人は、奇妙な音を聞いていた。

桑野容疑者の隣の住人:
事件前の日曜日か月曜日の夜中にバンバンと壁を叩くような音が聞こえてきました。
桑野容疑者はなぜ自分より力の弱い高齢女性を狙ったのか。
その動機を専門家が分析すると、見えてきたのは桑野容疑者が抱えていた“劣等感”だった。

「絶望感があふれた。全てが嫌になり、人を殺して人生を終わりにしようと決意した」と供述している桑野容疑者。
子どもの頃から人とうまく付き合うことができず、新しい職場でも人間関係に悩んでいたという。

また、桑野容疑者は「数十メートル先に被害者を見つけた」「仕事から帰宅し包丁を持って家を出た」とも供述している。