福岡市が推進してきた博多駅周辺の開発にも影響が出そうです。
JR九州は26日、博多駅の線路の上に複合ビルを建設する大規模な開発計画を中止すると発表しました。
◆JR九州 古宮洋二社長
「いろんなプランを検証したが『採算性はとれない』ということから、今回は断念せざるを得なかった」
JR九州の古宮社長は26日の会見で「博多駅空中都市プロジェクト」の中止を決めたことを明らかにしました。
◆JR九州 青柳俊彦社長(当時)(2022年3月)
「博多駅の線路上空に新たな都市をつくる」
JR九州が3年前に、声高らかに発表した「空中都市プロジェクト」。
JR博多駅の博多口にある「KITTE博多」と筑紫口の「ヨドバシ博多」の間に位置する線路上に新たな駅ビルを建設するという壮大な計画でした。
新たなビルは地下1階・地上12階建てで、商業施設やオフィス、ホテルも入居するとして2028年の完成を予定。
2022年の発表会見には高島市長も同席し「福岡市のさらなる発展につながる」と大きな期待を寄せていました。
翌年には、ビルの建設スペースを確保するため実に300人体制の人海戦術で駅構内の線路を敷き直す作業が行われました。
架線の張り替えや信号システムの書き換えなど、「夢の空中都市計画」は着実に歩みを進めているかと思われていましたが…。
26日にビルが建てられる予定だった場所に行ってみると、がらんとした状態になっていました。
鉄骨や配管などはむき出しのままとなっていました。
26日の会見で「私としてはぜひ、つくりたかった」と話した古宮社長。
しかし、コロナ禍で作業が止まっていた期間に建設費が高騰し、当初想定していた435億円の事業費の2倍近くかかることが分かり、事業中止という「苦渋の決断」に至りました。
事業にはこれまでに少なくとも60億円が費やされてきましたが、JR九州はこの計画中止が連結業績に与える影響については「調査中」としています。
周辺では再開発促進事業「博多コネクティッド」も進行
このプロジェクトはもともと2019年に構想が発表されましたが、翌年からコロナ禍となって長期間、計画が止まりました。
2023年からようやく詳細な計画を立てはじめ費用を積算していったところ、結果的に当初の2倍近くになってしまったということです。
博多駅周辺では市が主導する再開発促進事業「博多コネクティッド」も進む中、超大規模再開発の目玉だったともいえ、ほかの建設計画にも一定の影響が出るおそれもありそうです。
古宮社長は会見で「全国のJRの事業でこれだけの規模の計画が中止になった例はない」と話しています。