アメリカで9月22日、国土安全保障省が不法移民の取り締まり映像と人気アニメ「ポケモン」を組み合わせたPR動画をSNSに投稿した。主題歌やカード風画像を使い、逮捕された不法移民をポケモンカードになぞらえた内容だった。株式会社ポケモンは、一切関与していないという。

ポケモン映像を不法移民取締りに転用…ポケモンカード風の映像も

人気アニメを使い、不法移民の取締りをアピールしたアメリカの政府機関が投稿した動画に、波紋が広がっている。

この記事の画像(11枚)

トランプ政権が、SNSにアップした不法移民の取り締まりアピール動画には、まさかのポケモンが登場し、日米両国で物議を醸している。

9月22日、アメリカ国土安全保障省は「全部ゲットだぜ」の決め台詞を添え、BGMがついた約1分の動画をSNSに投稿した。

アメリカ国土安全保障省公式Xより:
ポケモン 全部ゲットだぜ 誠実な心と勇気が僕らを導く 君が教えてくれる 僕が教える ポケモン 全部ゲットだぜ ポケモン

投稿された動画は、不法移民を逮捕する場面と日本の人気アニメ「ポケットモンスター」の映像を組み合わせて編集したものだ。

BGMには英語の主題歌が使われ、まるで不法移民取り締まりの成果をポケモン捕獲になぞらえるように作られていた。

加えて主人公の「サトシ」が投げたモンスターボールから出てきたのは、逮捕された不法移民たちのカードだった。

ポケモンカード風に作られた不法移民カードには、当人の顔や名前、出身国などが掲載され、中には犯罪の欄に殺人の文字があった。詳しく見てみると「キューバ出身の凶悪犯罪者」「殺人罪で25年の禁錮刑」と書かれていた。

これらのカードには殺人から児童虐待、詐欺まで様々な犯罪歴がズラリと記されていた。

トランプ政権のPR動画に日本の人気アニメが使われるという、まさかの事態だ。街の人の印象も良くなかった。

街の声:
せっかく(世界に)誇れるアニメなので、(動画には)使ってほしくない。

街の声:
変な風にポケモンが世界で広がると考えると、やめてほしい。

街の声:
正直面白くないから嫌です。自国のものでやるべき。こっちを巻き込まない方が良いかなと思います。

専門家「著作権侵害の可能性が高い」

さらに国土安全保障省の動画に呼応する形で、下部組織の税関・国境取締局は、映画「名探偵ピカチュウ」に関連する映像を使ってSNSに投稿した。

番組の取材に対し、株式会社ポケモンは「動画の作成および投稿において弊社、原作者、子会社を含む関係各社は一切関与しておらず、弊社が管理する知的財産の使用を許諾した事実はない」とコメントした。

さらに番組が話を聞いた専門家は、アメリカには教育や調査などの目的であれば、許諾なしに著作物を利用した場合でも、著作権侵害にあたらないフェアユースという捉え方があると指摘した。

しかし、橋下綜合法律事務所の溝上宏司弁護士は、「動画を見る限り、今回の使い方はアメリカの著作権法違反になる可能性が極めて高い。ポケモンの「ゲットだぜ」という表現をまさに不法移民の逮捕に当てはめたいということになるので、なかなかフェアユースとは言いがたいと思う」と指摘している。
(「イット!」9月25日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)