U-12からコンサドーレ一筋・キャリア通算5回の膝の手術を経験

―決断の理由は
「去年から今年にかけて、特に膝の痛みが強くて、それに耐えながらやっていたんで
すけど、その痛みに耐えきることがもう厳しくなってきた。精神的にも、それに疲れてしまった、というのが大きな理由です」

「それと同時に、今後、指導者をやっていきたいという強い気持ちが、自分の中にあったので、これはもう、次のステップに進んだ方がいいかな、っていうのを、自分の中で感じました」

―今まで怪我を何度も乗り越えてきた。去年9月に復帰してからのコンディションは
「コンディションというよりは、やはり痛みが毎日あって、正直、全然練習にも出れるような状態じゃない中でプレーしていました。毎日毎日それが続くので、自分の中で、もう厳しいな、、、というふうに思うようになってきてしまった」

―具体的な決断をした時期、きっかけは
「正直、去年のシーズン最後の方で、自分的には正直厳しいと思っていた。んですけれども、契約の話のときに、三上さん、竹林さんと話をした。”ラスト1年”という話を頂いたので、僕としてもラスト1年勝負しようと。もしこれでダメだったら、次のステップに行こうという風に自分の中で決めていました。

―覚悟を持って臨んだシーズン
「そうです。岩政監督になって最初のキャンプで、実際にプレーして自分の中でも厳しいなと思ったんですけど、岩政監督と京谷さんという新しいトレーナーにすごくお世話になって、その方たちに本当に親身になって助けて頂いた。途中少し良くなって、試合にも出られたり良い方向に行ったのはあったんですけど、、そこから上手く良い方向に行かなかったというのが、最終的な決断に至った理由です」

―その決断は今月に入ってからか
「そうですね。今月、強化部の方に伝えさせて頂いて、少しでも早く発表して、たくさんの方にお世話になったので、そういった方々に感謝の気持ちを伝えられたらと思って伝えさせて頂きました」


今後は、指導者の道に意欲

―チームメイトには、いつ、どういう形で
「それは、昨日正式に、ミーティングの前に伝えさせて頂きました」

―今日もこの場にたくさん(チームメイト)いらっしゃってますけど、どんな言葉を
「もう、僕の膝の状況はみんなが知ってくれているので”お疲れ様”と言ってくれました」

―引退すると決めた今の気持ちや心情は
「正直、伝えられてすごくすっきりしたというのはある。あと2か月、自分の中で痛みとの戦いはここで終わるので、そこまではプロとして責任を持って、チームの目標に向かって一緒に頑張りたいなと思います」

―9歳から22年間(サッカー人生)を、今どう振り返る
「やっぱり小さいころから、怪我が多くて、自分の好きなサッカーから離れる機会が、すごく多かった。その度にいろんな人に支えられて助けて頂いて、ここまでプレー出来た。皆さんに感謝ですし、一番本当幸せ者だなと。本当に有難い気持ちで一杯」

―現役を終えた後のイメージは
「指導者に、、、僕が小さいころ、サッカー選手になりたいという強い思いでプロを目指したかのように、一流の監督になれるよう、早く準備したい。そのために、試合を見たり出来ることをやっていこう、という前向きな気持ち」

―リーグ戦残り8試合。非常に痺れる戦いが続く。どういう力を発揮したいか
「練習に入り続けて、抜けないようにしたい。多少の痛みだったら何とか耐えきって、チームのみんなと一緒に戦って、少しでも若い選手の模範となるようなプレーを見せたい。もちろん、コンディション次第では、自分も試合に絡みたいという気持ちはある。少しでもチームの目標に貢献できるよう、あと2か月頑張りたい」

最高のサッカー人生

―改めて、サポーターに伝えたいこと
「サポーターの皆さんは、本当に温かくて、、優しくて、、本当に助けられました。このチームでプレーしていなければ、ここまでプレー出来ていなかったかもしれないし、大怪我を乗り越えることが出来なかったかもしれない。本当に皆さんに感謝の気持ちで一杯です」

―怪我で離脱した時の振る舞い、意識していたことは
「特に、大きく意識していたことはないですけど、とにかく、どんな状況でも前を向いて戦う姿を(みんなに見せたいわけではなく)自分との戦いの中でですごく大事にしていた。それは、どんな怪我でも一貫して貫いて来られたんじゃないかと思う。それを見て、チームメイトの選手たちがそう言って(「一希の姿を見てるから、へこたれちゃいけない」)くれるのは、自分としてはここまで頑張ってきて良かったと思う」

―改めて、深井選手の人生において、この怪我はどういう経験だったか
「(怪我が無ければ…)そう考えたことも、もちろんありますけど、結局これが自分ですし、なかなか、こんなに大怪我を経験できる選手もいないと思うので、たくさんの方々に支えられて応援して頂いて今がありますし、自分はこのサッカー人生、悔しい思いもたくさんしましたけれども、自分の中では最大限やり切った、最高のサッカー人生だったなという風に思います」

―ちなみに今日、セルヒオ・ブスケツ選手も引退発表された。
「そうなんですか?(同じ日で)嬉しいです。一番僕が目標としていた選手。何かの縁だなと感じます」

―小学生の頃からプレーしていた「コンサドーレ」で現役を終えることへの想いは
「自分が育った、このクラブでプロとしてキャリアを始めて、このチームで終われるっていうのは、自分の中ですごく嬉しく思う。もしかしたら(怪我が無ければ)違う道も考えられましたけど、僕の中ではこのチームで始まり、ここで終われた、というのはすごく納得している」

―痛みに耐えながら、日々どんな思いで練習・グラウンドに
「ピッチに立ったら言い訳はしたくないと、プロになったときから思っていた。練習に入ったら痛みがどうとかじゃなくて、、自分がうまくなるため、強くなるために最大限のプレーをしようというのは心がけてきました」

忘れられない”ルヴァンカップ決勝”ーそして、これから

―このクラブはどんな存在
「これからも大事にしていきたいクラブですし、今まで受けたコンサドーレからの愛を、しっかり返していけるよう頑張っていきたい」

―1番印象に残っている試合は
「やはり“ルヴァンカップ決勝”は特別な試合でした。ウォーミングアップのとき、スタジアムに入ったときのサポーターの大歓声は忘れられない。すごく鳥肌が立ったのを覚えている」

―今振り返って、あの試合(ルヴァン決勝)の経験というのは
「どんな状況でも、あきらめなければ奇跡が起こるというのを、自分のゴールで体現できたのは、サッカーを続けてきてよかったというシーンでした。最後は負けてしまったけれど、どれだけ格上の相手でも自信を持って、楽しみながらみんなで戦えれば、どんな相手でも勝てるチャンスがあると思えた。そしてあの大舞台は自分の中では忘れられない」

―ご家族の反応は
「両親からは、小さい頃から怪我との闘いをずっと見ていてもらっていたので”十分やりきったでしょ”と言葉をもらった。奥さんからは同じように、”お疲れ様。よくやったと思う”と伝えられました」

―日常生活への怪我の影響は
「朝起きたときが一番しんどい。階段の上り下りが痛く…。這いつくばって、、というのは少し言い過ぎですけど、本当にそれぐらいの状況から毎朝スタートする。練習が始まって、一つ一つのメニューをこなせるかという不安と闘いながら毎日過ごしていた。少しずつ、少しずつ痛みを試しながらプレーして、尚且つ、プレーしている以上評価されないとけないので、そこで自分のプレーを発揮するというのは、本当に厳しい毎日でした」

―理想とするプレーと現実、、ストレスは
「それはもう何年も前からあった。それも全て受け入れて、これが今の自分だと受け入れながらプレーしてきた」

―ここまで続けられた要因は?
「最後まで、応援して期待してくれるたくさんの方がいるので…。到底、自分一人の気持ちだったらここまで闘えなかったと思う。そういう人たちへの責任、自分なりの感謝の気持ちを持ちながらプレーしていた」

―(指導者以外に)選手から離れて、プライベートで挑戦したいことは?
「毎日膝の痛みのことを考えるプレッシャーから解き放たれた生活が楽しみ。それだけで十分です。」

北海道文化放送
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