全国でクマの被害が相次いでいます。岐阜県中津川市でも9月2日、男子高校生がクマに襲われケガをしました。その後も目撃情報があり、地元の猟友会がパトロールを行うなど、警戒が続いています。
■高校生が襲われる前日にもクマの姿が…住民に不安募る
中津川市坂下の路上で9月2日午後7時過ぎ、帰宅途中の16歳の男子高校生がクマに襲われました。
高校生は近くの家に助けを求めて病院に運ばれましたが、頭と背中を引っかかれ、ケガをしました。現場はJR坂下駅から南におよそ450メートルの住宅街の近くです。

付近の住民ら:
「怖いですね。しばらくは歩けないですね」
「恐怖でした。ケガまで、襲ってくるまでになったかと」
中津川市内でのクマの目撃情報は、2025年4月以降で32件です。9月3日朝も、現場付近でクマのようなものを見たとの通報がありました。
高校生が襲われる前日の9月1日午前3時ごろ、同じ坂下地区では、黒いクマが地面の何かを探すようにゆっくりと歩いている様子がカメラに映っていました。

土地の所有者:
「タヌキかなと思ったら、でかいクマが映っていたので、まずい、やばいなと思って」
中津川市は、周辺の小中学校や幼稚園の保護者に、子供を車で送って登校するよう要請しました。住民にも不安が広がっています。
保護者:
「ちょっと怖いなと。本当に近くまで来ちゃったんだなと思いました」
小学生:
「襲われそうで怖い」
■クマの被害の背景には何が…専門家は
全国で相次ぐクマによる被害。背景に何があるのか、クマの生態に詳しい専門家は…。
岐阜大学応用生物科学部の淺野玄准教授:
「『山にエサがなくなってクマが下りてきている』と思っている方が非常に多いんじゃないかなと思います。山の状況は、50年前・100年前に比べてどんどん良くなっています。クマの個体数も増えて、人の生活エリアが街中へシフトしていて、(クマが)どんどん里の方にも行動を広げている状況が、全国的に起きている」

増え続けているというクマ。中津川市では高校生がケガをしたことを受け、警察や地元の猟友会がパトロールを行っています。

環境省は9月から、緊急性があり周囲の人々の安全が確保されるなどの条件を満たせば、市町村の判断で、市街地でも猟銃の発砲を認めるとしています。
坂下猟友会の吉村俊広会長:
「市街地で撃つのはやっぱり怖いです。人命を守るために、そういったことをする必要はあるかもしれません。これを否定するわけではないですけども、銃を使用することのないように、クマが下りてこないように、そういった対策を考えています」