米価の上昇は農家の支えにも
しばらくはお米の価格が下がりそうにありませんが、この状態が続くと米離れの懸念もあります。
2022年はウクライナ情勢の影響で輸入小麦の価格が上昇してお米に注目が集まり始め、23年度のお米の消費量は微増しました。そして現在は、国内のお米の価格が上昇している一方で、米中貿易摩擦などの影響で輸入小麦が安値になっています。「安いから食べる」「高いから食べない」では、将来的には国産米が希少な食べものになってしまうでしょう。お米の価格が上昇することで農家は未来への投資ができ、規模拡大や後継者の確保にもつながります。

これからもずっと国産米を食べ続けていけるかどうかは日々の私たちの1食1食にかかっています。そうは言っても「食べなければいけないから食べる」ではなく「食べたいから食べる」という消費のかたちが理想ですよね。秋が深まるにつれて、里芋ごはんや栗ごはんなどの炊き込みごはんもおいしい季節。お米はあって当たり前の存在ではないということを胸に刻みつつ新米を食べると、その味わいもひとしおです。
柏木智帆(かしわぎ・ちほ)
米・食味鑑定士、ごはんソムリエ、お米ライター。