備蓄米登場で複雑化する市場

政府は今年8月、これまでの生産抑制から増産に政策転換すると発表しました。

ある米卸では、毎年新米が入荷しても業務用米については半年後くらいから新米を使い始めていました。ところが、昨年の新米が入荷したときには業務用米にもすぐに新米を使わなければならないほど前年産米が不足していたそうです。そして、今年は新米が入荷する3〜4か月前にはお米がなくなる…と危機感を募らせていたところに入札備蓄米が放出されました。

輸入米の代表格であるカリフォルニア米(筆者撮影)
輸入米の代表格であるカリフォルニア米(筆者撮影)

その後、政府が価格を決める随意契約の備蓄米も放出されましたが、流通が滞っているほか、「高くても銘柄米がいい」という人もいれば、「安い備蓄米がいい」という人、「全量備蓄米でなくせめてブレンド米がいい」という人もいるなど、ニーズは多様になっています。今年はこれまでのように「前年産米」と「新米」だけでなく、「備蓄米」「前年産米と備蓄米のブレンド米」「輸入米」も出回っているなど、市場は複雑になっています。

こうした状況を打破するためにはお米の余剰が必要です。余り過ぎると暴落につながりますが、お米は私たちの命をつなぐインフラ的な役割もありますから、ある程度の余剰は必要だと言えるでしょう。