価格が下がるとすれば来年秋?

今年は各地で猛暑の影響を受け、地域によっては渇水にも悩まされました。今年の出来高を米農家や米屋に聞くと、地域や品種によって答えはさまざまです。すでに一部の新米が出回り始めていますが、米卸や米屋が全体的な出来高を実感できるのは12月から年明け1月ごろ。一部地域では今年春に増産対応されたとはいえ、ふたを開けてみないとわからないのが正直なところで、今年の新米の出来高を評価するには時期尚早と言えるでしょう。

磐梯山とコシヒカリ。猛暑の中をたくましく育つ稲たち(筆者撮影)

たとえ今年の全体的な出来高が見えてきたとしても、その段階の前年産米や備蓄米の在庫量のほか、輸入量、さらには備蓄枠を埋めるための買い入れや農家の経営支援といった政府の政策など、現段階では不確かな要素が多く、余剰や価格の先行きは不透明な状態です。政府の今後の方針の骨格が決まるのは2026年夏と言われています。

稲作は春先に種まきをして収穫するのが秋ということで、今年の収穫分をすぐに増産対応できるわけではありません。来年春からの増産についても、減反枠として加工米などを複数年契約した場合は、契約期間が終了するまでは主食用米の割合を増やすことが難しくなります。今後、主食用米の面積が増えるとともに、今年、来年と豊作が続き、かつ現状の農政が続けば、来年秋口から再来年にかけて店頭小売価格が下がるかもしれません。消費者は価格が下がれば嬉しいですが、生産者にとっては納得できる価格に落ち着くのか、はたまた大暴落になるのか、戦々恐々としています。