日本の棚田百選の一つ・山辺町の棚田を照らすイルミネーションが始まった。稲杭にソーラーライトを取りつけたイルミネーションは、全国的にも珍しいという。
山辺町大蕨地区の棚田。
稲刈りが終わった棚田には、刈り取ったイネを天日干しするための“笠地蔵”のような稲杭が1000本立ち並ぶ。
この棚田に持ち込まれたのがソーラーライト。
ソーラーライトは日中の太陽光をバッテリーに貯め、暗くなるとLEDライトを光らせる装置。
(グループ農夫の会 稲村和之代表)
「私の知り合いから『大蕨の棚田はすごい稲杭だからもっとアピールしたらいい。そのためには光がいいね』という話があり、『イルミネーションにしましょう』と。思いついたのがソーラーライト」
用意したソーラーライトは1000個。
それを、有志の会と町の職員あわせて5人で、1000本ある稲杭に一つひとつ手作業で取りつけていく。
3年前から始まったこのイルミネーション。
当初は、ライトを稲杭の先端にテープで巻きつけていたが、片づける際、外すのに手間がかかったため、2024年からはイネの束に直接差し込む方法に変更し、作業がだいぶ楽になった。
(グループ農夫の会・稲村和之代表)
「労力がかかっています。だけどこの労力の汗が“光”になる」
2時間かかった1000個のライトの取りつけ作業。
陽が落ちて夜になると…、センサーが暗闇を感知してソーラーライトが輝き始めた。
午後からライトを取りつけたため充電時間が短く、光がつかないライトも多くあったが、それでも穏やかな光が大蕨の棚田を照らした。
(グループ農夫の会 稲村和之代表)
「『地域を元気に、棚田に光を』我々の思いのもと継続して、今後ともイルミネーションを長く続けていければ」
山辺町の棚田を照らすイルミネーション。
この夜景は10月上旬まで楽しむことができる。
稲杭に取りつけられた1000個のソーラーライトは100円ショップで仕入れた物を使っているそう。
こうした取り組みで“棚田を後世に残そう”と発信しているのは、全国的にも珍しいと有志の会は話していた。