クマが市街地に出没した場合に、市町村の判断で猟銃を発砲できる「緊急銃猟」について、9月の制度開始に伴い、岩手県による初めての訓練が9月22日に釜石市で行われました。
緊急銃猟の訓練は県が初めて行ったもので、釜石市や地元猟友会、それに県警などから合わせて29人が参加しました。
22日は、はじめに人を襲ったクマが体育館の倉庫に逃げ込んだことを想定し、対応を協議する打ち合わせが行われ、その様子を県内24の自治体の担当職員らが見学しました。
9月1日、改正法の施行により、市街地にクマなどが現れた場合、市町村長の判断で、猟銃を発砲できる「緊急銃猟」の制度が始まりました。
しかし、9月3日時点の岩手めんこいテレビのまとめによると、マニュアルの作成が済んでいないことなどを理由に、県内33市町村のうち29市町村で9月中の運用開始はできないとしていて、早急な実施体制の整備が課題となっています。
22日、前半の机上訓練では、市が全体の指揮を執った上で、警察などが住民の避難誘導を担当し、猟友会が発砲を担当するといった、緊急銃猟の流れの確認を行いました。
内記和人記者
「市内の体育館に移動してきました。これからでは机上訓練で決めた手順に沿って実地訓練が行われます」
実地訓練では警察が道路の通行規制を行って住民を避難させ、安全を確保したという想定で、市長が発砲の許可を出しました。
その後、警察官が猟友会のハンターの身を守りながら、クマが潜む体育館の倉庫に近づき、10mほどの距離から散弾銃を発砲するまでの手順が確認されました。
県自然保護課 引屋敷努統括課長
「県としてはできるだけ早いタイミングで対応訓練を実施して、各市町村の皆さんに見てもらい少しでも緊急銃猟の参考になれば」
訓練の後には参加者から「実際の避難には多くの時間を要するため、ひとつひとつの作業を速やかに行うことも大切だ」といった意見が出されていました。
釜石市では22日の訓練を踏まえ、10月1日までに緊急銃猟ができる体制を整備するとしています。