北アルプス・三俣蓮華岳に向かったまま、行方が分からなくなっていた東京都の男性2人は10月24日までに無事が確認された。1人は23日、自力で下山、1人は24日、県警ヘリで救助された。2人はビバークし、沢の水を飲んでしのいでいたという。
この記事の画像(13枚)「がんばれ!」隊員が励まし救助
24日朝6時半ごろ、ヘリから降り立った隊員。
県警:
お待たせ
男性:
すみません…
県警:
接触、けがなし
連絡が途絶えてから5日。県警の救助隊が行方不明だった男性を北アルプス・野口五郎岳の西側の谷で発見した。
男性は1人で歩くことができ無事だった。
沢の近くでビバークしてしのいでいたという。
県警:
がんばれよ、まだ安心するな。病院まで、病院まで
その後、県警ヘリで病院に搬送された。
「もう一泊」その後、連絡途絶える
行方が分からなくなっていたのは、いずれも東京都の自営業の男性(26)と大学生の男性(23)。
2人は10月18日に大町市の登山口から三俣蓮華岳を目指し1泊2日の予定で入山した。
しかし、帰宅予定の19日に家族に「もう1泊する」とメールが送られた以降、連絡が取れなくなっていた。
警察は22日から捜索を続けていたが、23日夕方まで手掛かりがない状況だった。
自営業の男性が自力下山
しかし、23日午後7時ごろ―。
自営業の男性は疲労などで動けなくなった大学生の男性を残し、大町市の登山口まで自力で下山、近くの山小屋に救助を求め、家族に連絡したという。
七倉山荘の吉田尚さんは、当時の状況について、「どうしました?と聞いたら『ようやく下りてきたところで、1人稜線に残っている』と、だいぶ精神的に疲れている感じで稜線に残っている人が心配だったんでしょうね」と話す。
吉田さんはその旨、警察に連絡したという。
沢の水を飲んでしのぐ
自営業の男性の情報をもとに24日朝から県警ヘリで救助活動を再開。
大学生の男性がいるとみられる野口五郎岳西側を目指した。
そして―。
県警:
はい、お待たせ
男性:
すみません
県警:
接触、けがなし
24日朝6時半ごろ、連絡が途絶えてから5日ぶりに救助した。
2人はテントをはってビバークしていたという。携帯電話のバッテリーは切れていた。
3日分の食料はあったが、尽きた後は沢の水を飲んでしのいでいたという。
大学生の男性は松本市内の病院に搬送されたが、命に別条はないという。
なぜ、道に迷ったのか
2人は「道に迷った」と話している。
県警によると、2人は上級者向けの登山道「伊藤新道」を使って三俣蓮華岳へ。
その後、「竹村新道」で下山する予定だったという。
しかし、「竹村新道」へ行く途中に何らかの理由で道を逸れてしまったとみられる。
伊藤新道の登山口にある湯俣山荘によると、任意で提出を呼びかけている登山道の通行届は出ていなかったという。
湯俣山荘の野沢優太管理人は、「20日午後、夕方くらいから強い風と雪だった。恐らくその雪と風を逃げようと低い所低い所へ行ってしまったのでは。助かったから良かったが、もし、山荘に寄ってくれていれば『雪これくらい降っているからこういう状況なら帰っておいで』と一言が言えたのかなと心残りなところがある」と話す。
10月の登山は冬山と認識を
連絡が途絶えてから5日。
2人が助かった理由について県警はテントや寝袋などの防寒対策がしっかりされていた点、そして、沢筋でビバークしたことで水を補給できた点をあげている。
県警はあらためて10月の登山は冬山と認識し、アイゼンなどの装備を用意すること、天候や積雪など事前の情報収集をしっかり行うことなどを呼びかけている。
(長野放送)