群馬県館林市で、住宅街にできた“ゴミが山積みにされている私有地”が問題となっています。
住民側は撤去を求めて約2300人分の署名を集め、市に陳情書を提出していますが、いまだに住環境が脅かされる状態が続いているといいます。
山積みのタイヤ…虫や異臭問題も
実際の現場に「サン！シャイン」が訪れると、そこには建築廃材や廃棄物が山積みの“ゴミの山”がありました。山積みの土砂の上にタイヤが置かれ、高さは4～5ｍに達しています。
近隣住民によると、ここ数年の間に土砂が運びこまれ、その上にタイヤや廃棄物などが放置されたことで、現在の状態になったというこの場所。
タイヤに貯まった水や、伸びきった草木などにより、隣り合う住宅には積まれたタイヤが落下してくる危険性や、虫や異臭などの問題も…。
近隣住民：
虫も…あと臭いとかも結構ありまして、そこの近くに住んでいるともうちょっと…ここに住むのいやだなってなっちゃうのが、正直なところですね。
近隣住民：
上から見たら（土砂に）ちょっとひびが入っていたりとかあったんで、もしかしたら崩れたりしないのかなっていうのは…ちょっと正直心配ですね。
土地の所有者が片付けに応じないことから、行政にも改善をお願いしているといいますが、ゴミが置かれている場所が「私有地」なこともあり、行政も対応に苦慮している状況だといいます。
近隣住民：
もう市役所にもこの件で5回ぐらい行っていますし。あと農協とか警察とかにもそれぞれ3回ぐらい行っているんじゃないかな。それでも特に、今まで“なしてのつぶて”だった。
同じ所有者が持つ別の土地にも、土砂や廃材を運び込みこまれ、“ゴミ山”状態になっているといいます。近くには高齢者施設があり、運営に影響が…。
高齢者施設職員：
うちの方を利用したいという方がいたんですけれども、ここ（ゴミ山）を見て、ちょっと空気が汚染されているような気がするからということで、キャンセルというか…。
タイヤを有効活用と主張 一部勝手に持ち込まれたごみも？
所有している複数の土地に、なぜ“ゴミ”を運び込むのか？
「サン！シャイン」が直接、所有者を訪ねてみると、意外な答えが返ってきました。
土地の所有者：
ここを処理しながら、同時にこれを有効利用するための、「タイヤアートガーデン」のひとつ。これは一つの一例ね。これオクラなんだよ。花咲いてるでしょ。これ実がなってるでしょ。
所有者によると、「タイヤアートガーデン」という庭園を造っている最中で、“ゴミ山”に見える物は「アートのために集めた」と主張。
さらに話を聞くと、すべてを自らが置いたわけではなく、見知らぬ“ゴミ”も混ざっているといいます。
土地の所有者：
集めたっていうよりも、捨てられたりするものもあるんですよ。不法投棄もある。
（お金をもらって捨てさせたことは）ないですね、それは。
――周辺住民に申し訳ないという気持ちはありますか？
そうですね、十分にありますので早急に（対応する）。ガーデンになってくれば虫は出ませんから。タイヤもゴミじゃなくて、はっきり言いますと「あ、こういう使い方もタイヤはあるんだ」と。
自ら所有する土地の見はらしの良い場所でSNSの撮影をするなど、自分の時間を過ごしていると話す所有者の男性。今後いずれの土地も、新たにゴミを増やすことはせず、少しずつ改善させていくとしています。
専門家「明確に不法投棄」
あくまでも、アートの一環であり、ゴミ置き場ではないと主張する所有者。
しかし、元千葉県産廃Gメンの石渡正佳氏は、現状を加味した上で「これは明確に不法投棄現場である」と話します。
元千葉県産廃Gメン 石渡正佳氏：
アートのための資材置き場ではないと。（行政が）早く不法投棄現場であると認定した方がいいですね。認定基準はありませんが、アートのための資材だと言っているんですが、資材として使えるのはどこですか？と特定して、全体がアートの資材ではないので、99％はアートの資材ではなく不法投棄ですと。
それから、（ゴミを）持ってきている方は明らかにプロなので、持ってきている方を特定して、取り締まることも必要なので。もう少し踏み込んで調査をすれば、実態は明らかになると思います。
――これを行政代執行で全部撤去するとどのくらいのお金がかかる？
全部撤去すると、1億円くらいかかりそうな感じがしましたので、できるだけお金のかからない方法としては、冷蔵庫は粗大ゴミとして市役所に引き取ってもらうとか、タイヤも市役所の焼却炉で燃やしてもらうとか。
その他の土砂については撤去するのが一番いいですが、それほど危険でないものであれば高さを下げることでいったん納めるとかであれば、1億円まではかからないと。
税金を使った工事ですから、できるだけ費用のかからない方法で現場の問題を解決することがいいかなと。
（「サン！シャイン」2025年9月22日放送）
