全国で車の買い取りや販売を行う『ソコカラ』が、8月の記録的大雨で水没した車の引き取り支援のために、全国から熊本に社員を集めて被災者をサポートしている。

全国の社員を集め『災害復旧支援チーム』

熊本・山鹿市の広大なスペースに並んだ多くの車。これらは8月の記録的大雨で水没した車。全国で車の買い取り・販売を行う『ソコカラ』は、熊本県内に四つの車両置き場を臨時で開設し、水没した車の引き取りを行っている。

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ソコカラ・営業戦略本部の森田成亮副本部長は「(水没した車の引き取り依頼は)一番多い時期で(1日)250件くらい。最近はようやく落ち着きだして、大体1日で40~50件」と話す。

引き取った車の状態を見せてもらうと、ソコカラ・首都圏車輌集中管理センターの川名力斗さんが「汚れ具合で分かると思うが、シート下まで漬かっている。エンジンはじめ、電装関係が基本的に水に漬かる形になるので、ここまでの水位漬かっていると、走らない車が非常に多い」と話す。

トランクの下には大量の水がたまっていて、ソコカラ・首都圏車輌集中管理センターの長野哲也さんは「(下からでないと)見えない、エンジンルームは下もあるから。(1日に)10台くらい見ている。でないと追いつかない。普段は千葉のヤードで働いているが、この水害で呼ばれた。地元は熊本なので、地元に帰ってきて、まさかこのようなことをするとは思わなかった」と話す。

『ソコカラ』は全国各地の社員を熊本に集めて『災害復興支援チーム』を結成。少しでも早く車の所有者に保険金が支払われるよう、水没した車の状態を確認し、被害状況を確定させている。

水没車両の『買い取り』 走る以外の価値も

また、依頼者の要望に応じて水没した車の買い取りも行っている。森田副本部長は「(弊社は)元々、損害車の買い取り・販売を専門にやってきたので、車の価値というものに関して言うと、いわゆる中古車としての価値だけではなく、部品や資源としての価値も見出せる」と、会社の強みを明かした。

9月11日は熊本市西区で買い取りを実施し、依頼した男性は「全然(エンジンが)かからない。ここ(ルーフ近く)まで(水が)来た。45年住んでいるが、こんなになったのは初めて」と話し、水がたまったままのライトが被害の大きさを物語っている。

状態を調べた結果、エンジンがかからないほど被害が大きいため、廃車し部品は再利用するという。ソコカラ・広島車輌管理センターの屋敷一歩さんは「前タイヤがロックされて言うことを聞かないので、鉄の台車をタイヤの下に敷き、それを舵にしてまっすぐ積む」と手順を話す。

車はバッテリーが壊れているため、ハンドルを切ったままロックがかかり、まっすぐレッカー車に積み込むことが難しい状況になっていた。作業開始からおよそ1時間半、ようやく車はレッカー移動された。

依頼した男性は「何軒か(業者を)当たったが、『(買い取り価格)なし』というところもあった、引き取るだけで。(車を)持って行ってくれるだけでもありがたい」と話し、今回は『ソコカラ』に買い取ってもらったようだ。

『ソコカラ』によると、すでに1600台近く対応したということだが、現在も熊本県内では多くの車が引き取りを待っている状態だ。

森田副本部長は「被災して経済的にも精神的にも大変な状況の皆さまの負担を、少しでも軽減するために、とにかく復旧復興が一日も早くなされるように、微力ながら手伝いたい」と話した。

(テレビ熊本)

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