秋雨前線が日本海に停滞しています。この時期、台風が北上してくると前線が刺激され、集中豪雨になることがあります。「秋雨前線+台風=要警戒」この“方程式”について村田光広気象予報士が解説します。
◆夏の空気と秋の空気の“せめぎ合い”
この時期の“天気の主役”は、秋雨前線です。
夏を支配していた太平洋高気圧が勢力を弱め秋の空気が南下してきます。その境界が、秋雨前線です。前線付近は大雨になることがあり、10日は九州で大雨になりました。
秋の空気が優勢になると、本格的な秋の天気に変わっていきますが、今は両者がせめぎ合っている状況です。
◆台風に刺激され大雨や突風が発生
この時期、さらに注意しなければいけないのは、台風の時期と重なるということです。秋雨前線が停滞しているところに台風が北上してくると前線が刺激され、集中豪雨になることがあります。
2023年9月6日、秋雨前線と台風の影響で局地的に雨雲が発達。福井市と越前町で1時間に約80ミリの猛烈な雨が降り、記録的短時間大雨情報が発表されました。
その時の天気図は、前線が停滞し四国の南に熱帯低気圧、南の海上には台風があります。つまり、台風が遠く離れていても危険な大雨になることがあるのです。
◆竜巻の発生も多い9月
更に、秋雨前線や台風が激しい気象現象を発生させることがあります。それは、竜巻などの激しい突風です。
9月5日に静岡県牧之原市で発生した竜巻は、台風が接近した影響です。家屋の損壊や電柱の倒壊など、甚大な被害が発生しました。気象庁によりますと、風速はおよそ75メートルに達し、国内で発生した竜巻としては、最大級の規模だったと推定されます。
1991年から2025年8月までに全国で発生した竜巻の数を月別にみると、発生は一年中ありますが、7月から11月にかけて多くなる傾向があり、最も多いのは9月です。
それは、台風や前線の影響で大気の状態が不安定になりやすいからです。
9月は、災害が発生しやすい時期。災害の発生に備えて出来る対策や備えの再確認が必要です。