地下鉄七隈線の延伸工事に伴って掘られていたトンネルで、午前4時25分頃、トンネル上部の岩盤が剝がれ落ちる「肌落ち」が始まりました。

作業員がコンクリートを吹き付けて応急対応を試みたものの効果はなく、午前5時にはトンネル上部から水が噴き出しました。地下水が大量の土砂とともに一気に流れ込み、15分後、轟音とともに路面が崩れ落ち、信号機が倒れ込むほどの大きな穴が出現しました。

その穴は、長さ約30メートル、幅約27メートル、深さ約15メートルに及びました。

地下にはガス管、上下水道管、通信ケーブルなどが密集しており、現場にはガスのにおいが漂い、水道管からは水が流れ落ち続けていました。陥没の底では砂が崩れ続け、アスファルトが次々に落下しました。

しかし福岡市は延べ1000人以上の作業員を動員し、24時間体制で復旧に取りかかりました。穴にたまった水を排出し、ミキサー車約800台分に相当する約3000立方メートルの特殊な固化土を注入。

さらにその上に砕石を敷き詰め、事故からわずか1週間後の11月15日朝には、地上の交通機能が回復しました。「ニッポンスゲー」といった賞賛の声がネット上に広がりましたが、それは奇跡的に人的被害がなかったからこそ可能だった対応でもあります。