「ひとりで行う自己分析には限界がある」

そう指摘するのは、転職支援サービスでサービス開発などに関わってきた三石原士さん。

自身も「自分の強みがわからない」経験をしたなか、あるとき年齢も職種もバラバラな人が集まり、1年を振り返る会に参加したことで、「ひとの視点を借りる」という新たな自己分析の選択肢を見つけたという。

そんな人材サービス・パーソルキャリアではたらく三石さんの著書『かくれた「強み」をみつけよう。自分の舞台がみつからないあなたへ』(日本経済新聞出版)から、自分の強みを知るうえで他者の視点の活かし方を、一部抜粋・再編集して紹介する。

“他者の視点”を得るには?

“他者の視点”を活かすことが大切だとお伝えしました。では、他者の視点を得るにはどうしたらいいのでしょうか。答えはシンプルです。「誰かと話すこと」。たったそれだけです。

でも、ただの世間話では足りません。「これからの自分をどうしていきたいか」「どんなときに自分は熱くなるのか」といった“キャリアの本音”に触れるような、少し踏み込んだ対話です。

少し踏み込んだ対話を他人としてみよう(画像:イメージ)
少し踏み込んだ対話を他人としてみよう(画像:イメージ)
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そして、この対話には、以下のような力があります。

【1】映し鏡の役割
自分ではみえなかった感情や行動が、相手の反応やフィードバックを通してみえてくる。
【2】言語化の補助
ぼんやりと感じていたモヤモヤが、相手に話すことで言葉になっていく。もしくは相手から出た言葉を借りて言葉にできる。
【3】視点の切り替え
他者の経験や考え方を聴くことで、自分だけでは気づかなかった選択肢が増える。
【4】安心の土台否定されずに話し、受け止めてもらえるだけで、行動する勇気が湧いてく
る。

自分のことは、自分がいちばんわかっている――そう思うこともあるでしょう。しかし実際には、自分自身の魅力や可能性は他者の言葉によってはじめて浮かび上がってくることが多々あります。

たとえば、「あのとき、あなたすごく楽しそうだったよ」「それって、あなたにしかできないことじゃない?」こうした言葉が、自己理解の起点になることは珍しくありません。他者の視点を借りることで、視野の偏りや思い込みが打ち消され、「本当の自分」が立ち上がってくる。

その意味で、他者との対話は、自分という存在をみつめ直すことになります。