この法律の大活躍によって、自治体では、身元がわからない遺骨の安置スペースが増え続け、葬祭費がかさみ続けている。

遺体を長期間火葬せずに葬儀会社に預けたままにするケースも出てきており、厚生労働省は引き取り手のない遺体や遺骨に対する自治体の取り扱いについて初めて実態調査を実施した。

入院に必要な「保証人」

日本では、入院に際して保証人が求められている。2016年のこと、首都圏にある医療機関のソーシャルワーカーから、エンディングセンターに電話が入った。

心臓発作で緊急入院した患者の皆川和子さん(仮名・81歳・未婚)が、「エンディングセンターの人に来てほしい」と言っていると。しかし、死後のことや入院時の身元保証の契約を結んでいなかった。それでも緊急入院だったので、私ともうひとりのスタッフが病院に向かった。

そのまま入院となった80代の女性に必要となったのが保証人(画像:イメージ)
そのまま入院となった80代の女性に必要となったのが保証人(画像:イメージ)

駆けつけてみると、皆川さんは集中治療室に入っていた。体調が悪かったので病院で検査を受けたら、そのまま入院になったという。

皆川さんを見ると、毅然とし、集中治療室にいる患者には見えない。しかし心臓が悪く、血管がふさがってしまえば死に至る危ない状態であるという説明があった。

そこで保証人が必要になったというわけである。

私は病院のソーシャルワーカーに、「保証人というのは、本人が治療費を払えなかったときの金銭的な保証なのか、それとも亡くなったときのご遺体の引き取りですか」と聞くと、後者だという。