今や専業主婦世帯を大きく上回る共働き世帯。仕事に疲れた保護者の負担を軽減しようと、保育園が作る夕食の“お総菜”が人気を集めている。

保育園で手作り総菜 金曜日に販売

福岡・筑紫野市にある『のどか保育園』。乳幼児21人が在籍している。子供たちが美味しそうに頬張っているのは、大好きな給食。

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この日のメニューは、そぼろ丼など3品。保育園に所属する管理栄養士が、子供達の成長や発達に合わせた献立を考え、手作りの給食を提供している。

給食の時間を終えた午後1時過ぎ。給食室では、まだ調理が続いていた。「保育園で販売している夕食用のお総菜を作っています」と話すのは、『のどか保育園』で管理栄養士を務める渡部紘子さん。

2024年12月から、保護者向けに『こどもごはん』と名付けた惣菜を週に1回、金曜日に販売している。

この日の献立は、給食でも人気のごぼうチップスと鶏肉を合わせた『チキンチキンごぼう』(350円/100g 税込み)と国産シラスとわかめが入った野菜たっぷりの甘酢サラダ(200円/70g 税込み)。

仕事と育児で疲労が溜まる金曜日に販売することで、保護者の負担を減らす狙いだ。

「この『こどもごはん』を使うことに罪悪感は覚えて欲しくなくて、子供との時間や家族の時間が増えれば、“投資”くらいに思って貰えたらいいのかな。気軽に使って貰えたら」と渡部さんは話す。

帰宅から15分で夕食準備完了

夕方のお迎えの時間。子供を迎えに来た保護者が、次々に惣菜を購入していく。「助かります!帰ってすぐ、ご飯食べられるし、ご飯を作る量も減らせるから」と話すのは、毎週、注文していると話す“常連”の保護者。

別の保護者も「子供が4人いるので作るのも結構、大変で、考えるのも億劫な時に結構、利用させてもらっている」と好評だ。

共働きで3歳の玲奈ちゃんを育てる川添愛加さんも『こどもごはん』の常連だ。

「夕方は、本当にバタバタです。仕事を終わってすぐ、電車乗って、電車降りたらすぐ、保育園に迎えに行って。もう、くたくたですね。金曜日は、できることなら何もしたくない」と午後6時前、玲奈ちゃんと家路を急ぐ川添さん。働く母親の気持ちを吐露する。

自宅に帰るとすぐに、晩ご飯の支度に取り掛かる。「きょうは、保育園で買ったお惣菜2品と、スープだけ追加して、ご飯、おしまいです」。帰宅して、僅か15分ほどで夕飯の準備が整った。

「いただきます!」普段からあまり野菜を食べないという玲奈ちゃんも夢中で『甘酢サラダ』を口に運ぶ。「おいしい」とニッコリ笑顔の玲奈ちゃん。

「幼児食は、売ってないので、市販の総菜は、味付けが濃かったり、添加物が気になるが、保育園の『こどもごはん』は、罪悪感なしで買える」と信頼を寄せている。

普段、料理もするという父親の充博さんも「めちゃくちゃ助かります。毎日販売して欲しいくらい」と『こどもごはん』を絶賛する。

この日、保育園のお総菜を利用することで、時間の余裕が生まれ、川添さんは、食後にゆっくり子供と遊ぶ時間を取ることができた。

「毎日はバタバタで、1人遊びさせているが、金曜日だけは特別で、時間が余っている分、子供と一緒に遊べますね」と語る。

保育施設内で、保護者の夕食づくりをサポートする動きは、県内の他の幼稚園や保育園にも徐々に広がりをみているが、新たなビジネスとして企業も参入を本格化している。

レトルト食品を無人販売するビジネスを展開している『ハウス食品グループ本社』は、2025年度中に現在の4倍の200カ所を目指すとしている。共働き世帯が増える中、子どもに栄養バランスの良い食事を手軽に用意したいというニーズは強く、5年以内に全国3000カ所の目標を掲げている。

(テレビ西日本)

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