猛暑が続く中、外で子供を遊ばせると親は汗だく、走り回る子供の後を追いかけてどっと疲れる…そんな経験は日常茶飯事だろう。汗をかかずに疲れずに、なおかつ子供もたくさんのおもちゃの中から好きなもので集中して遊べるスポットが長崎市の中心部にある。自身の子育て経験からパパが作った、こだわりの遊び場だ。
全体を見渡せる広さに200種類のおもちゃが並ぶ
長崎市浜町アーケードの「岡本時計店ビル」の3階に、室内キッズスペース「あそびドコロ」がある。2024年にオープンした。

室内は約30坪の広さでL字形のスペース。子どもがどこで遊んでいても全体が見渡せる、ちょうどいい広さだ。

幼児向けの知育おもちゃ、レゴブロック、シルバニアファミリー、プラレールなど、約200種類以上のおもちゃがずらりと並ぶ。

窓際に並べられた「仮面ライダーの変身ベルト」と「スーパー戦隊ロボットのフィギュア」は、平成時代から最新のものまでが一堂に揃う。子どもだけでなく大人のファンも圧巻だ。

福岡から帰省してやって来た家族連れは、「福岡にも子供が遊ぶ室内施設はあるが、これほどおもちゃの数が揃う場所はあまり見たことがない」と、笑顔で遊んでいた。
運営者はパパ「親もゆったり遊べる場を作りたい」
「遊びドコロ」を作ったのは、小学2年生と5年生の息子を育てる2児のパパ・山田晋太郎さんだ。

「公園に連れて行くと親も汗びっしょりになるし、一緒に走り回ると疲れる。親子でゆったりと“汗をかかずに”遊べる場所を作れないか」。
そんな思いから、構想3年、空き店舗を探し回り、勤めている会社の社長に直談判して会社の事業の一部として運営を始めた。

店舗を探す際に譲れなかったのは「2階以上で、外から覗くことができない場所」だった。山田さんは、「外から見えるとお母さんたちが人目を気にしてしまう。気軽な気持ちで、何なら化粧をしなくてもふらっと立ち寄れる、そんな場所にしたかった」と話す。

室内にはトランポリンや滑り台などの大型遊具はない。「子どもが思い切り体を使って遊んでいると、親は注意して見ていないといけないから疲れる。とにかく親もゆったりした気持ちで過ごしてほしい」という思いからだ。

子育て中のパパだからこその発想で、魅力あるおもちゃと向き合えるゆったりした空間が作られている。
プロ並み!高校生の手作りおもちゃ
室内の一角には、木製、布製の温かみのある手作りおもちゃが15点ほど並べられている。

「ひらがなブロック」は、セットになっているカードと組み合わせることで言葉を覚えることができる知育玩具だ。

ブロックは子供がケガをしないように角が丸く面取りされ、子供の手になじむ大きさにこだわって作られている。レーザープリンターで印字されているので、インクが手や口に付く心配もない。

作ったのは、長崎県立長崎工業高校インテリア科の生徒たちだ。施設を運営する山田さんの出身校で、授業の一環として約1年かけて製作された。

高校では毎年おもちゃを製作しているが、卒業後、多くは倉庫に眠ったままになっていた。クオリティーの高さを知っていた山田さんは、それらも数点譲り受けた。

布製の仕掛け絵本は、ボタンやファスナー、靴紐など、子供ごころをくすぐる仕掛けが随所に施されている。

長崎県産材を使った木製ブロックは中が空洞なので軽く、赤ちゃんでも簡単に持って遊ぶことができる。

実際に手に取って遊んだ子どもたちの反応や親のアイデアを次の課題研究に活かすなど、生徒の実践の場にもなりつつある。
親も子も笑顔あふれる場に
2024年のオープンから約1年。累計8000人以上の人が利用した。

施設の奥には椅子とテーブルが設置された飲食スペースがあり、持ち込んだ弁当やお菓子を広げて一日中遊ぶことができるのも魅力だ。

子どもたちが、おもちゃ屋さんで「これ欲しい!」と思うおもちゃがたくさん並ぶ場所が理想だと語る山田さん。今後は地元の企業に呼びかけスポンサーになってもらうなどして、より多くの人に来てもらえる場所になればと、これからの夢を語ってくれた。
場所は浜町アーケードを抜けてすぐ
「あそびドコロ」が入っている「岡本時計店ビル」の入り口は、ベルナード観光通りにある「吉宗」をよろずや通りに曲がり、しばらく歩くと見えてくる。青と白の看板が目印だ。

【あそびドコロ】
利用料金(大人・子供一律料金)
1時間 平日:400円 土日祝:500円
フリーパス 平日:900円 土日祝:1200円
貸切(平日のみ1時間) 3500円 ※2日前まで要予約
場所:長崎市浜町8-34岡本時計店ビル301
営業時間:10:00~17:00(土日祝 は18:00まで)※1時間前受付終了
定休日:毎週木曜日
利用は小学生以下
ただし小学生以下の兄弟がいれば小学生以上も利用可
(テレビ長崎)