日本海沿岸の安全を守る巡視船に思わぬ珍客が訪れ、乗組員だけでなくSNSユーザーからも温かい反響が寄せられている。
第8管区海上保安本部の公式Xに投稿された鳥の画像が、多くの人々の心をつかんだようだ。
大しけの海を航行する巡視船に…休息する2羽の鳥
10月下旬、第八管区海上保安本部の公式X(旧Twitter)アカウントに投稿されたのは、日本海を航行していた巡視船「いわみ」の船首に止まっている2羽の鳥の画像だった。
巡視船いわみは、島根県の浜田海上保安部に所属し、海難救助や海上交通の安全確保などのため日夜日本海で活動している。
八管本部は「風速18メートル…海が大しけの中で羽休めに訪れたのでしょうか?」とコメントを添え、「この鳥はなんという鳥でしょうか?」と閲覧者に問いかけた。
この投稿に対し、Xユーザーからは「海の安全も鳥たちの安全も守っていただきありがとうございます」、「2羽とも可愛らしい。休んでる姿が安心しきってますね」、「皆さんがお優しいと感じるからこそ羽を休めに来てくれたのだと思います。雰囲気で分かります。動物は何でも分かっています」などの温かいコメントが寄せられた。
専門家が明かす鳥の正体
巡視船に休息していた鳥の正体について、米子水鳥公園に確認したところ、1羽目は「タカの一種のハイタカで、羽の色から雄の成鳥」であることが判明した。
ハイタカは「森林に生息し、小鳥を捕食。農耕地や河川敷でよく見られる」という生態を持つという。
もう1羽は「コミミズク」で、「田畑や河川敷などに生息し、ネズミなどを捕食する」鳥だった。さらに「夜行性だが、夕方のまだ明るい時間帯から活動し始めることが多く、フクロウ類では比較的観察しやすい種類」とのことだ。
保安官をじっと…続く珍客!日本一小さな鳥も訪問
最初の投稿から約3週間後の11月14日、海上保安本部は再び「またまた巡視船いわみに予期せぬ訪問者が!」、「お仕事中の海上保安官にあいさつに来てくれました」、「将来は海上保安官志望かな?」と、ある小鳥の画像を投稿した。
この小鳥は、操舵室の窓際に小さくとまり、保安官をじっと見つめているようにも見える姿が写っていた。
Xユーザーからは「キクイタダキ。日本一小さな鳥です」、「キクイタダキは(重さが)5グラムほど、風に飛ばされて流されたのかな」、「保安官を見つめる目、かわいすぎる。安全な航行を」などと、前回以上の反響があった。
米子水鳥公園に確認したところ、「キクイタダキでよいと思います。山陰地方の平地では冬に見られます」との回答を得た。
体長は10センチほどで、頭のてっぺんが鮮やかな黄色で、菊の花びらが張り付いているように見えることが名前の由来だという。
渡り鳥にとっての巡視船が“休息地”に…
米子水鳥公園によると、「いずれの鳥も日本には冬鳥として飛来する渡り鳥で、渡りの際に海上を飛行。適当なものがあれば羽休みに利用することがある。今回も休憩のため、船に降りてきたのでは」としている。
日本海の安全を守る海上保安庁の巡視船。その存在は人間だけでなく、本能的に安全を感じ取ったのか、渡り鳥たちにとっても「安心して休息できる場所」として役立っているようだ。
(TSKさんいん中央テレビ)
