日常生活の中で「トイレに行くついでに片付け」がスムーズにできる人もいれば、できない人もいる。それは、家事の向き不向きではなく、脳の神経回路の使い方によるものだとする。
私たちの脳にはとっさに使う「タテ型」「ヨコ型」の2種類の回路があり、基本的にはどちらかを優先して使っているという。
夫婦、上司と部下、友人関係などで「会話のすれ違い」を感じるのは、優先する型の違いによって、対話の様式が異なるから…。
累計100万部超の「トリセツ」シリーズを手がける、黒川伊保子さんの著書『対話のトリセツ』(講談社+α新書)から、「ついで家事」を通してヨコ型・タテ型回路の特徴を一部抜粋・再編集して紹介する。
パートナーがどちらの回路を優先しているかわかることで、夫婦の衝突も少なくなるかもしれない。
脳はとっさに二者択一をする
タテ型回路とヨコ型回路、これらは、同時に起動することはできない。
私たちの目は、遠くと近くを同時に感知することはできない。遠くの電光掲示板を読みながら、手元のパンフレットを読むことは誰にもできないはず。

このため、ふと不安を感じて、とっさにその根拠を確かめるとき、私たちは、遠近を選ぶ必要に迫られる。遠くの目標物に注視するか、近くを満遍なく見るか。これは脳が生来持っている、本能的な二者択一なのである。
ちなみに、目の不自由な方でも、もちろん、同じ二者択一がある。
「遠くの音、一点」に意識を集中するときはタテ型。「身の回りの空間で起こる音を満遍なく、皮膚感やにおいも使って」意識するときはヨコ型である。
ヨコ型回路は無意識に「ついで家事」
そして、あまりにも自然で気づきにくいが、日常生活の中のあらゆるシーンでも、脳は常に二者択一しているのである。
たとえば、テレビCMの間にトイレに立つようなとき、ヨコ型回路を起動している人は、半径数メートル以内を満遍なくサーチしながらトイレに行く。