家を片づけたいのに、誰も手伝ってくれない。物を手放したがらない。散らかしている。こうした悩みを抱えている人はいないだろうか。

当たり前のことだが、家をきれいに保つには家族の協力が必要だ。「片づけアドバイザー」石阪京子さんのメソッドでも、私物をリビングなどに置くと散らかる要因になるとしている。

ただ、自分が意気込んでも家族が片づけに興味を示さない、必要性を感じていないこともあるはず。そんな周囲を“動かす”ヒントを、石阪さんに聞いた。

私物は捨てる前に「置き場所」を用意

そもそもなぜ、家族が協力してくれないことが起きるのか。石阪さんに尋ねると「理由も分からずに私物を捨てるように促され、片づけを嫌いになってしまうケースが目立つ」という。

家族の考えをすり合わせよう(画像はイメージ)
家族の考えをすり合わせよう(画像はイメージ)
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そこでまず、片づける前に“家族会議”を開き、みんなが使う物はリビングやキッチンなどに、私物は各自のプライベートスペースに置くことを徹底するようにお願いしよう。私物の置き場所が決まってなければ「この場所は誰が使う」などと話し合い、一緒に決めるといい。

(参考記事:片づけができないと健康にも悪影響?ミニマリストより“暮らしが回る”を目指す おのずとスッキリさせる方法

その上で、現状のどこが不便で改善するためにどうしたいかを説明する。「テーブルが散らかっていて、食事の前に片づけている。これがなくなるとご飯が早く用意できるので、私物は置かないでほしい」などと、具体的に伝えることがポイントだ。

使え方によっては逆効果になることも(画像はイメージ)
使え方によっては逆効果になることも(画像はイメージ)

この時に「置きっぱなしにしたら、捨てちゃうからね!」などと伝えるのは逆効果。自分の物ばかり捨てられると思い込み、不満を抱いたり、協力してくれなくなる可能性があるそう。私物は捨てる以外の選択肢もあると認識してもらうことが大切だ。

「家が整っている=気持ちいい」で変わる

そもそもの“家族会議”に応じてくれなかったり、結局は私物を散らかしてしまったり…ということもあるはず。そんな時は視点を変えてみよう。

「部屋のひとつを、すぐには片づけられない私物を置くための『101号室』と割り切って、家族にあげる考えもあります。その分、公共スペースには置かないことを約束させましょう」(以下、石阪さん)

夫が私物を置いた「101号室」の例(提供:石阪さん)
夫が私物を置いた「101号室」の例(提供:石阪さん)

私物はその人にとって“大切な物”かもしれないので、勝手に捨てるのはNG。そこでまずは「101号室」に置いてもらい、自分はリビングやキッチンなど、生活で目に留まりやすい場所を片づけることに徹してみよう。相手が「家が整っている=気持ちいい」と感じると意識が変わり、私物をため込む、置きっぱなしにすることが気になってくるという。

きれいな家を見て、意識が変わることも(画像はイメージ)
きれいな家を見て、意識が変わることも(画像はイメージ)

片づけたタイミングで「こういう風に変えたよ」と改善点を伝えたり、使いやすいかどうかを聞くのもアリ。私物がある「101号室」との差を感じ、自然と片づけたくなるという。

「何もないきれいなテーブルに私物を置くのは、ちょっと気が引けるじゃないですか。家族が片づける姿を見たりすると、相手の意識も変わります」

ただ、物の収納場所や配置を変えた場合は配慮も必要。調理器具などは使いたい時に見つからないと苦労するので、変更点をしっかりと伝えておこう。

注意すべき?ちょっとした散らかし

家で放ったらかしになるのは、私物だけではない。紙ごみをその辺に捨てたり、使った食器類を放置したり…、こうしたちょっとした散らかしには、どう向き合えばいいのか。

石阪さんによると、人間の価値観には個人差があるため、散らかしている人自身が“片づける必要性”を感じることが必要になるという。

我慢しても相手は変わらないことが多い(画像はイメージ)
我慢しても相手は変わらないことが多い(画像はイメージ)

そのため、散らかった光景を見ても、不機嫌な態度で表現したり、我慢したりしても、相手は変わらないことが多い。感情的にならず「何をどのように直してほしいのか」を明確に伝えよう。

お勧めは、実際の散らかしをスマホで撮影して、LINEで送るというもの。かわいいスタンプを使ったり、ユーモアを交えて直してほしいと伝えると、雰囲気も悪くなりにくいそうだ。

石阪さんは「やっぱり大事なのは話し合いです」と語る。家庭内での居場所がない、寂しさを感じていると、注意を素直に受け止められなくなるというので、普段のコミュニケーションを大切にしつつ、片づけの意識を高めていってほしい。

『一回やれば、一生散らからない「3日片づけ」プログラム これが最後の片づけ!』(ダイヤモンド社)

石阪京子
片づけアドバイザー、宅地建物取引士、JADP心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。夫と不動産会社を起業後、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけの提案を始める。独自のメソッドで片づけに成功した家は1000軒以上に上る。
現在は収納監修、片づけレッスンのほか、全国各地でトークイベントやオンラインセミナーを開催し、多くの女性に暮らしの整え方のアドバイスを送っている。

プライムオンライン特集班
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