長崎は9日、原爆が投下されて80年を迎える。平和祈念式典に参列するパレスチナの駐日大使が長崎市で初めての講演を行った。また式典で原爆犠牲者に捧げる水が汲み上げられ、準備が進められた。
15万人以上のパレスチナ人が負傷、死亡、行方不明
市民団体が開催した講演会で、パレスチナの駐日大使は2023年10月以降、イスラエル軍の爆撃などにより15万人以上のパレスチナ人が負傷、死亡、あるいは行方不明になっているとした。

ワリード・シアム駐日パレスチナ大使:ガザの71%が破壊され、投下された爆弾は8万8000トン、原爆6発分に相当します。これは戦争ではありません。絶滅行為です。
いまはエジプトからの救援物資も途絶え、多くの子供が飢餓で命を落としている。
大使は「皆さんにお願いしたいことは、続いているジェノサイド(組織的な大量殺りく)を止めること、決して二度と起こさないこと」と訴えた。
「イスラエルは何を学んだのか」
長崎市は2024年、イスラエルを式典に招待しなかったが2025年は招待し、特命全権大使が参列予定だ。
ワリード・シアム駐日パレスチナ大使:何年イスラエルは広島・長崎に式典に招待され、これまで何年、広島と長崎『戦争をやめ、世界がどうなっているか見よ』とのメッセージに彼らは何を学んだのか、学ばないのなら招待するべきではない。

式典には、7日時点で初出席の台湾を含む95の国と地域が参列予定の一方、中国は欠席予定だ。
原爆犠牲者に捧げる水を汲み上げる「採水」
9日の平和祈念式典を控え、8日、長崎市の平和公園では原爆の犠牲者に捧げる水が「平和の泉」で汲み上げられた。

小学生、中学生、高校生の代表者3人は、原爆の熱線を浴び、水を求めてさまよった犠牲者への慰霊の思いをしっかりと込めていた。

西北小6年 池田小百合さん:戦争で被爆した人たちが水を飲めなかったので、その人たちのために水を天国まで届けたい思い。
三川中3年 大原哲生さん:全世界の人が笑顔で楽しく暮らせる世界になってほしい。
長崎商業高2年 栗原在さん:もう二度と戦争が起こらない世界になってほしい。
献水用の水は平和の泉のほか、三ツ山町の恵の丘の湧き水など市内4カ所でも汲み上げられた。
平和祈念式典は9日10時40分から
9日の「被爆80周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」は、長崎市の平和公園で営まれる。

今回は3年ぶりに被爆者による合唱団「ひまわり」が平和の祈りを歌に込めて発信する「被爆者合唱」で式が始まる。

「被爆80周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」
日時: 令和7年8月9日(土)
場所: 平和公園(平和祈念像前広場)
<式次第>
10:40 被爆者合唱
10:45 開式
10:46 原爆死没者名奉安
10:48 式辞
10:52 献水
10:54 献花
11:02 黙とう
11:03 長崎平和宣言
11:12 平和への誓い
11:19 児童合唱
11:24 来賓挨拶
11:40 合唱 千羽鶴
11:45 閉式
(テレビ長崎)