でも、長男はそうではないようで、「自分の息子なのに全然違うんだな」と驚くことがあります。例えば、息子は最初、逆立ちがまったくできなかったのですが、「どうしてもできるようになりたい」と毎日一生懸命練習して、とうとうできるようになりました。
「できないことでも、できるようになろうと努力する」というのは、私にはない才能だと感心します。
「スイッチが入る瞬間」はいつか来る
だからといって私自身が、何に対しても努力できなかったわけではなく、北海道大学医学部在学中にアメリカの医師国家資格を取ることも、当初は周りから「無理だ」と言われたりしましたが、自分の気持ちが変わることはなく、必死に頑張って実現させ、日本の医学部卒業者としては史上最年少で米国臨床医になりました。
また、そのあとも小児精神科の医師になりたいという夢に向かって寝食も忘れるほど努力して、小児精神科での研修を修了しました。誰にでも遅かれ早かれ、どこかでそういったスイッチが入る瞬間が来るはずです。

子どもの方も、「もっと頑張らないといけない。頑張って続ければできるようになるかもしれない」ということは、わかっていると思います。しかし、子どもは大人に比べて、頑張って続けたらできるようになったという成功体験が少ないので、「やらなくては。でも、つまらないからやりたくない」という葛藤があると、あきらめる方に傾いてしまう。
そういった葛藤をしているところに大人から「やりなさい」「もっと頑張りなさい」と言われると、余計にいやになってしまう面もあるかもしれません。