「自分には、つらい思いをした時でも、戻るところがある。受け止めてくれる人がいる」という安心感は、「自分には、どんな時でも愛してくれている人がいる」ということが子どもに伝わっていてこそのものです。また、自尊心があるからこそ、1度転んで痛い思いをしても、「次は大丈夫。自分なら1人で頑張れる」と再び挑戦する気持ちが持てます。
ただ、「少しずつ練習させる」というのは、簡単なことではありません。どこで手を離したらいいのかは、状況やそれぞれの子どもの性格、関係する人たちによっても異なるでしょうし、判断は本当に難しいと思います。
助けが必要なときにはいつでも
成長段階によっても、どれだけ親の手助けが必要なのかは変わってきます。私もいつも、心配な気持ちをぐっと抑えて、ある程度は子どもを信頼して見守り、手を出し過ぎないようにしようと心がけています。その時に大切なのは、「失敗しても、うまくいかなくても大丈夫。もし助けが必要な時には、いつでも手を貸すからすぐに言ってね」というスタンスを示すことです。
今までは挑戦できなかったことが、親に手助けしてもらいながらでもできるようになった。前は1人でできなかったことが、親に助けてもらわなくても1人でできるようになった。

そうした成功体験の積み重ねは、子どもの成長には欠かせないと考えています。本当は、なんでも心配して先回りし、手を出したり選んであげたりする方が、ずっと楽だと感じます。手や口を出すのを我慢し、子どもを信頼して黙って見守るのは大変です。
しかも、子どもは自分とは違う人間ですから、自分とは違う選択や判断をすることもあります。それでうまくいくこともありますが、「あーあ、その選択をすると失敗するのに…」と思うことも少なくありません。
それでも、危険ではないことに関しては、ぐっとこらえて見守り、失敗して助けを求めてきたらサポートする。失敗した時に助けを求めてこないのであれば、もう少し見守ってみる。
そうやって試行錯誤を繰り返したうえで、自力で得た成功は、子どもにとって大きな自信になり、自尊心につながると思うのです。