50年以上もの間、内戦が続き、2016年に和平合意されたコロンビア。
名産のコーヒー畑は荒れ果て、物資の配給に慣れた住人たちは立ち直る気力を失っていた。
住民の自立が大切
中南米で農村の再開発を行うJICA（国際協力機構）技術協力専門家の栗原敏昭さんは、紛争で被害に遭った住民に立ち直る力を与えたいと立ち上がった。
「紛争の被害に遭われて、家を追われて家族の誰かしらを失っているんです。対等な、パートナー的な仕事を一緒にやりましょう」と、住民が自立するために「産業やコミュニティを自立的に立て直す必要がある」と説得を続けた。
なぜなら、長きに渡る内戦で住民たちのコミュニティーは分断され、互いのことには無関心、さらには食料や物資の配給に慣れてしまったせいで、自分たちの力で地域を復興させようという気概を失ってしまっていたからだ。
栗原さんは、具体的なアイディアを出すのではなく、住民たちと何度も話し合いを重ね、自立と復興の機運が醸成されるのを待ち続けた。
そして1年後、ようやく1人の男性、フランシスコさんが「有機肥料を使ったコーヒーを作りたい」と提案してきた。
住民が自ら考え、手を取り合って進むのが再建への第一歩。栗原さんたちはすぐに支援に乗り出した。
フランシスコさんは、「彼らが支援してくれた一番大切なものは、産業の基盤づくりです。JICAは我々に有機肥料の作り方など、多くのことを教えてくれました」と話した。
こうして出来上がったのが、みんなで作り上げた“幸せのコーヒー”。
栗原さんは「“被害者”から“1人のプロフェッショナルな生産者”に戻りましょう、と。みなさんの生活が本当に良くなっているのか楽しみにしたいと思います」と語った。
「フューチャーランナーズ～17の未来～」
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