ハマンが感じていた脅威
彼がその立場を利用すれば、やがて自分を脅かすような地位を得るかもしれない。しかもそんな人物が自分に敬意を示さない。さらにはハマンの属するアマレク民族と、モルデカイの属するイスラエル民族は仲が悪かったですから、それはもうなおさら脅威を感じたのだとしても何の不思議もありません。
自分の脅威になり得る相手に対して、敵意を示さずに優しく接するというのは意外と難しいことです。
口で言うのは簡単ですけど、実際にやるとなると実にさまざまな感情がモヤモヤと湧き出してきます。自分は自分の手で、自らの脅威を育てているのかもしれない、という危機感だとか。
最終的には、王妃エステルの知恵と勇気ある行動によって、ハマンの「モルデカイとイスラエル民族を皆殺しにしてやる」という企みは失敗に終わり、彼は彼自身がモルデカイを処刑するために用意した柱に自分がはりつけられて、非業(ひごう)の最期を遂げることとなりました。ああよかった。ざまーみろ。スカッとした。
このハマンの最期に接して、僕と同じように「ざまーみろ」とか「スカッとした」なんて感想を抱く方は少なくないと思います。
しかし僕はそんな感想を抱いてしまう僕自身に「気をつけろよ」とも言いたいんです。