頭を下げない人に意地悪する
ハマン、なんて嫌な奴でしょう。自分に礼を尽くさなかったというだけで、その相手を罰しようとし、あろうことか彼の一族、彼の民族まで皆殺しにしようとするなんて。
あー、こういう人、現代でもいるいる。みんなにペコペコ頭を下げられて、それで気持ち良くなって、頭を下げない人には意地悪するような人、いますよね。嫌ですよね。
しかもそんな人が国の重臣、つまり「みんなの上司」なわけです。わぁ、最悪なシチュエーションだ…。

しかし、よくよく自分のことを見返してみると、僕自身もまた心のどこかにハマンのような気持ちを持っているかもしれません。
自分に良くしてくれる人が増えたとき、その「良くしてくれる」というのが当たり前になってしまって、良くしてくれない人がちょっと「嫌な奴」に見えてしまうような気持ち。
たとえば「みんながお歳暮をくれるのに、なんであいつだけくれないんだ!」とムッとしてしまうような気持ち。そんな気持ちは、立場が「上」になればなるほど湧いてきてしまうものかもしれません。
また、ハマンには、おそらくモルデカイが自分の立場を脅かす人物に見えていたのだとも思います。なぜならモルデカイは王の寵愛(ちょうあい)を受けている王妃エステルの養父ですから。