周りの人からペコペコされないと気分を害する人…。あなたの身近にもそんな人がいて、悩まされているかもしれない。
「上馬キリスト教会ツイッター部」のMAROさんの著書『聖書のなかの残念な人たち』(笠間書院)は、聖書の中にいる“残念な人”を取り上げ、独自の視点で解説している。
MAROさんは約2500年前にもいた「ペコペコされないと怒る人」の代表的な『エステル記』に登場するハマンという人物に触れている。しかし、そのハマンの“困った”部分も、もしかしたら誰もが抱いている感情なのかもしれない…。
本書から一部抜粋・再編集して紹介する。
誰もがひれ伏したハマン
周りの人にペコペコ頭を下げられないと機嫌の悪くなる人っていますよね。特に立場や地位が高くなったばっかりの人に、そんな人が多いような気がします。
「○○さん」じゃなくて「○○先生」と呼ばれないと気を悪くする人ですとか、自分は偉い立場なのだからエレベーターに乗るのが優先されて当たり前だと思っている上司だとか、「お客様は神様だろ!」と店員さんに過剰なサービスを要求する人なんかもそうかもしれません。

あーもう、考えているだけでちょっと腹が立ってきますけれども、そんな人は現代にばかりいるわけではなく、2500年前の旧約聖書にも登場します。
2500年前から人類はそんな器の小さい人たちに悩まされてきたのです。代表的なのは『エステル記』という書に悪役として登場する、ハマンという人物です。
ハマンは紀元前5世紀頃にペルシャ王クセルクセスに仕えた重臣です。ハマンは王に気に入られ、王の一番の重臣とされ、周りの人たちは誰もが彼の前では膝をかがめてひれ伏しました。
しかし、王妃エステルの叔父であり養父でもあったモルデカイだけは、彼にひれ伏しませんでした。ハマンはこれに腹を立て、モルデカイだけでなく、彼の属する民族であるイスラエル民族ごと皆殺しにしようとしました。