いつも海面を漂っているように見えるラッコだが、「あお向けの状態はエネルギーをあまり使うことがない」とのこと。
ただ、食べ物をとりにいくときは海中へと潜る“素潜りの達人”でもあるそうだ。肺活量も多く、最長で5分も潜っていられるという。潜る深さも90メートルという報告もあるようだ。

そんなラッコが好むものは、人間からするとぜいたくなものばかり。住んでいる地域や個体によって変わるようだが、アワビ、ウニ、カニなどをとって食べるという。
大人のオスのラッコで、体長150センチ、体重40キロほどだが、ラッコは大食い。1日に食べる量は体重の20~30%と言われている。代謝も高く、食べた分のエネルギーは極寒の環境で体温を保つために使われ、脂肪になることはほとんどないそうだ。
食べ物が豊富にある「コンブの森」
ウニなどの食べ物が豊富にある場所とされるのが「ジャイアントケルプ」。野生のラッコはそこで暮らしている。
「ジャイアントケルプ」は、アラスカやカリフォルニア沖などに自生する、全長60メートルの巨大コンブ。
「『コンブの森』とも言われるこの場所には、ラッコが大好きなウニ、カニ、アワビなど豊富な食べ物があるのです」

ジャイアントケルプからするとウニが天敵。この場所からラッコがいなくなるとウニが増え、増えたウニがジャイアントケルプを食べ尽くしてしまうということも起こる。
ジャイアントケルプはさまざまな生きもののすみかでもあり、そのすみかがなくなってしまうことにつながる。そうしたことからラッコは「ケルプの森の番人」として、ここの生態系を守っているそうだ。