日本で唯一のアザラシ保護施設「オホーツクとっかりセンター」。
親とはぐれて衰弱してしまった赤ちゃんアザラシや怪我をしたアザラシを保護し、治療、リハビリを行い海に帰す活動をしている。
「とっかりセンター」を通して知る、アザラシの知られざる生態や2024年夏にSNSで「アザラシ幼稚園」と話題になったオランダのアザラシ保護施設に加えて、愛くるしい魅力なども取り上げている『アザラシまるごとBOOK』(辰巳出版)から一部抜粋・再編集して紹介する。
また、オホーツクとっかりセンターのスタッフにセンター誕生の経緯も聞いた。
なぜ子どもが保護される?
とっかりセンターのアザラシの保護活動は1987年にスタートしました。
当初は漁網に迷い込む、スクリューに巻き込まれるなど漁業の影響で怪我をしたアザラシを救出していました。それが2000年頃から保護要請のほとんどが衰弱したアザラシの子どもへと変化していきました。
なぜ幼い子どもが保護されるのでしょうか?

当センターで、もっとも多く飼育されているゴマフアザラシを例にすると、毎年冬になるとメスが出産・子育てのためロシアから流氷とともに北海道にやって来ます。
流氷の上で生まれた子どもは通常2~4週間で独り立ちをしますが、その前に親とはぐれる、自分では餌をうまく捕れない、怪我をするなどの理由で衰弱する個体がいます。
そのうち海岸に打ちあがり、たまたま人に発見された個体がとっかりセンターへ保護されるのです。